フィギュアスケートの全日本選手権(長野・ビッグハット)の男子シングルは千両役者の五輪2連覇・羽生結弦(26=ANA)が5度目のVで幕を閉じた。全日本4連覇中の宇野昌磨(23=トヨタ自動車)は2位に終わり、5連覇は阻まれたものの、演技後はガッツポーズも見せた。

 そんな宇野の演技を元世界女王の安藤美姫(33)は「見てすぐ、うぉー、変わってる!って思いましたね」と感想を漏らした。

「シンプルにスケーティングが変わりました。特にショート(SP)が分かりやすいですが、これまでは力強さが前面に出ていましたが、今年はその中に落ち着きがあり、スケートにストレスがかかっていない。本当に無駄な力がなく、スケーティングが柔らかくなった印象ですね」

 最も端的に分かる部分が「手の位置」だといい「重心が下がったことで、手の位置も下がり、そして柔らかくなった」と分析する。

 その要因として安藤は今年からコーチになったステファン・ランビエル氏(35)の存在を挙げる。

「ステファンは重心を下げて表現する特徴があり、手を柔らかく使うことを教えてくれるんです。恐らく彼の影響だと思いますね」

 実際、宇野も試合後に「ステファン・コーチに恵まれて」と口にしている。毎年のように自分と向き合い、苦しみ、そして新しい形を模索する彼にとって、ステファンとの出会いもまた一つの「財産」となったようだ。