フィギュアスケートの全日本選手権(25日開幕、長野・ビッグハット)の公式練習が24日に行われ、五輪2連覇の羽生結弦(26=ANA)が久々に銀盤に登場した。

 練習を終えた羽生は「久しぶりに複数の人数でリンクに乗って練習したので、まだ感覚つかめてないところがありましたけど、なんかある意味それもまた新鮮で、ホントに僕にとって久しぶりのことだったので楽しい感覚もありました」と話した。

 今季は新型コロナウイルス禍によるリスクを回避し、GPシリーズ欠場を決断。全日本出場に至った経緯を問われると「別に考えは変化していないです。ハッキリ言ってしまえば、やっぱり自分個人の考えとしてはなるべく感染につながるような行動はしたくない。現状、いわゆる第3波と言われる波が来ている状況の中で僕が出ていいものかということは、かなり葛藤がありました」と複雑な胸中をのぞかせた。

 今大会は来年3月開催予定(未定)の世界選手権(ストックホルム・スウェーデン)の代表選考を兼ねている。それが出場を決心する背中を押したようで「まずは世界選手権の選考会として、この試合を必須として出なくてはいけない。僕自身の希望を何とかつなぐために出させていただいたっていうような感じです」と語った。

 また、コロナ禍での練習については「毎日、一人でコーチなしで練習して。ホントにケアとかも難しかったですし、なるべく家族以外とはほぼ接触はしていないです。外に出ていくということが全くなかったんですけど、それでも僕にとってはスケートに集中できる環境でしたし、いい練習ができたんじゃないかなと思っています」と明かした。

 その孤独感もプラスに変えた。「悩み始めるとどうしても自分の負のスパイラルに入りやすい」と自己分析する羽生は「その中でうまくコントロールする術だとか、一人だからこそ深く分析したりとか、また自分が外的要因じゃなくて、自分の原因の中で、どういうふうに調子が悪くなっていくのかとか、どのように調子が良くなっていくのか、そういうことを経験するいい機会になりまた」といつものように心の中を整理し、言葉に表した。