フィギュアスケート・アイスダンスの〝かなだい〟こと高橋大輔(34=関大KFSC)、平昌五輪代表・村元哉中(27=同)組がマイナス要素を逆手に取り、チャンスに変えようとしている。

 2人は千葉・船橋市に誕生した通年型アイススケートリンク「三井不動産アイスパーク船橋」のオープン祝賀イベント(10日)に参加。新リンクで約1時間半の練習を行ったが、本来なら付きっ切りで指導するはずのコーチはどこにもいない。振付師のマリーナ・ズエワ氏、コーチのオレグ・エプスタイン氏らはコロナ禍で来日できず、2人は練習動画を毎日のようにコーチへ送り、リモートで指導を受ける日々だという。

 見守った関係者は「ただでさえ組んだばかりで合わせるのが難しいのに、リモートはかわいそう」と漏らすが、意外にも当人たちに困惑の色はない。タブレット端末で練習動画を撮影し、滑り終えるたびに入念にチェック。この作業を何度も繰り返していた。

 高橋は「ホントはずっと(コーチに)付いてもらった方がいい」とした上で「リモートでもやれる時代。テクノロジーに感謝です」と前向き。村元も「先生がいないので(高橋と)お互いにコミュニケーションを取り、一つひとつ分析しています」とポジティブにとらえる。本来であれば、不利な環境がむしろ2人の距離を縮めているのだ。

 次戦の全日本選手権(24~27日、長野)もコーチ来日は未定だが、〝かなだい〟は、ピンチをプラスに転じさせるチャレンジ真っ最中。コロナ禍で世の中の価値観が一変する中で、フィギュアスケート界の「リモート指導」も一般化していくのか。