【ロシア・ソチ22日(日本時間23日)発=田中宏治】フィギュアスケートのエキシビションが行われ、日本からは女子6位の浅田真央(23=中京大)、男子金メダルの羽生結弦(19=ANA)、同5位の町田樹(23=関大)、同6位の高橋大輔(27=関大大学院)の4選手が出演した。去就に注目が集まる浅田は「世界選手権(3月)が終わってから考えたい」と話す一方、早くも休養後の復帰を視野に入れていることも明かした。

 現役続行か、それとも引退か――。さまざまな臆測が飛び交うなか、真央本人の口から第3の選択肢が飛び出した。

 エキシビションの演技終了後、3年半にわたり指導を受けてきた佐藤信夫コーチ(72)について質問を受けると「今シーズンが終わって、やめるにしても、1年休むにしても、先生との時間は世界選手権でひと区切りになるので寂しい。これまでのように我慢、我慢ではなく、一日一日を楽しもうと思う」。

 昨年4月にソチ五輪をスケート人生の「集大成」とする意向を表明。20日には平昌五輪に向けた4年間の挑戦を想像できるかを問われ「できません」と答えた。引退を示唆するような発言が目立ったこれまでとは違い「復帰を前提とした休養」の可能性を初めて口にした。

 実はこの日、日本スケート連盟サイドからもこうした声が上がった。鈴木芳子強化部長(58)は今回の五輪を総括し「金を含む、複数メダルという目標に届かず、力不足を痛感している」。代表選手の去就については「強化部長として、しっかりと話してはいない」としたものの、昨年末の全日本選手権を制した鈴木明子(28=邦和スポーツランド)の今季限りでの引退を明言する一方で、真央と高橋に対しては微妙な言い回しとなった。「(2人とも)まずはゆっくりしたい」と話していることを明かし、今後に含みを持たせた。

 これだけのメンバーが即引退すれば、代表のレベル低下は確実。連盟、あるいは強化部として、現役続行に向けたアクションは起こすのかを尋ねると「選手たちはここまで走り続けてきたので、『1~2年休んで、ケガのない状態で戻ってきてほしい』とは言うかもしれない」と本音をチラリ。

 今季のキム・ヨナ(23、韓国)や安藤美姫(26)のように、フィギュアスケートでは長期休養からの復帰は決して珍しい話ではない。仮に一度は引退を口にしてリンクを去ったとしても、再挑戦はいつでも可能だ。真央も1~2年ほど気力、体力ともに充電してから再びリンクに帰ってくる可能性は十分ありそうだ。

 2度の五輪を振り返り「バンクーバーではショートプログラム(SP)には満足したけど、フリーでは満足できなかった。今回はそのフリーで人生最高の演技ができた。2つ合わせて最高の五輪だった」と満足感を漂わせた真央だが、その気持ちが変わる日が来ることをすでに予感しているのかもしれない。