【ロシア・ソチ7日(日本時間8日)発】4年に一度の冬季スポーツの祭典、ソチ五輪が開幕した。今大会で最も注目を集めるのは、今季限りでの引退を示唆したフィギュアスケート女子の浅田真央(23=中京大)が悲願の金メダル獲得なるかだ。4月以降の予定を一切入れず「集大成」に全力を尽くすなか、日本選手団団長の橋本聖子氏(49)が重大証言。「真央は辞めない」というのだ。

 8日の団体女子ショートプログラム(SP)に出場することが正式発表された真央は、開会式には出席せず練習リンクで鈴木明子(28=邦和スポーツランド)とともに調整。団体に向け「私はSPだけなので、集中して臨みたい」と意気込んだ。

 トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)も4回中3回成功させるなど好調を維持。前日の練習後は選手村に戻るバスを待つ間に報道陣と雑談する姿もあったが、この日は隣のザンナ・フォレ・コーチにチラリと目をやり「もうしゃべるなと言われているのでごめんなさい」といよいよ本番モードに入った。

 ストイックな性格の真央らしく、自分のすべてをソチ五輪に費やしている。通常、人気スポーツ選手には五輪後にあらゆるオファーが殺到するもの。金メダルを獲得すれば一大ブームが起こるからだが「真央側は4月以降の予定を一切入れていないそうです」(フィギュアスケート関係者)

 出場を表明している3月の世界選手権(埼玉)やアイスショー以外は、取材だけでなくテレビ出演、各種イベントの出演まで、あらゆる活動予定を一切受けずに空白にしているという。

 まずは「集大成」とするソチ五輪での悲願の金メダルに集中する。その後はどうするかは五輪が終わってから考えるということだ。では言われているように、今季限りで本当に引退するのか? 以前から「今大会次第だが、少し休んで戻ってくる可能性もある」(フィギュア関係者)と“引退撤回”の可能性もささやかれてきたが、日本スケート連盟会長でもある日本選手団・橋本団長は、大会前に本紙のインタビューで次のように明かした。

「アスリートの感覚として真央は辞めないと思っています。今年が『集大成』と言っただけで、本人は『引退』とは口にしていませんよね?」
 その根拠はどこにあるのか。冬季4回、夏季3回と合計7度も五輪に出場した“五輪の申し子”は力説する。

「アスリートの引退は年齢や五輪に出た回数で決まるのではなく、本人がダメだと思った瞬間に訪れるもの。実際には自分で限界を作ってしまう選手が多いけど、それをどう乗り越えるか。(ジャンプの41歳)葛西の姿を見て、今の若い選手たちがどう感じるかだと思います」

 橋本団長によれば、真央の全盛期はこれからやってくるという。

「真央は今やっと自分のスタイルというものができて、本当の楽しさを感じているように見えます。苦しみを乗り越えることが楽しくて、達成感を感じている状態ではないか。あくまで直感的なものですけど、そんな楽しいものを手放して真央が今季限りで引退することはないんじゃないかと思っています」

 橋本団長は真央本人と引退について話し合ったことはないというが、スケート連盟会長としてつかんでいる情報は当然あるだろう。実際、真央の姉の舞(25)も「集大成と言ってましたが、真央は気持ちが高ぶるとすぐ余計なことを言うから。後で(真央は)『(引退と)書かれたんだよ、勝手に』って言ってました(笑い)。あまり言わないであげてください」と話しているのだ。

 確かに真央は「引退する」とは、ひと言も言っていない。集大成の今大会で全力を尽くし悲願の金メダル、さらにその先へ――。「集大成」の本当の意味はそういうことではないか。