【ロシア・ソチ6日(日本時間7日)発】深夜のソチ入りから一夜明けた6日、フィギュアスケート女子の浅田真央(23=中京大)が五輪会場のアイスバーグで初練習を行った。ソチでの最初のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)は自ら「完璧だった」と振り返るほどのデキ。悲願の金メダル獲得への順調な滑り出しには、もちろん理由がある。懸念材料だった腰痛がすっかり「消えた」というのだ。

 ソチでいきなりトリプルアクセルを決めた真央はその後、回転し過ぎて転倒。それでも、4回中2回の成功で「ベストではない状態のなかでは、まずまず」と手応えを口にした。

 圧巻だったのは練習リンクに場所を移しての午後の練習だ。何度かダブルアクセルを跳んでイメージをつかむと、トリプルアクセルは3連続で完璧な着氷。2度目の練習後はコメントを出さなかったが、指導する佐藤信夫コーチ(72)は「まだ晴れの日も雨の日もあるけど、今年は異常気象かな?」と好調ぶりに目を細めた。これにはワケがある。ソチ入りを前に、真央の不安材料だった腰痛がすっかり消えていたのだ。拠点の愛知で練習と同時にケアを怠らなかったことで、万全な体調に戻ったという。

「今は腰も非常に調子がいいみたい。またどこかで突然出ることはあるかもしれないが、今は痛みもないようです」(真央に近い関係者)。佐藤コーチも「腰の調子はいいですね。私の腰のほうが心配なほどですよ」と冗談を飛ばすほど。

 腰はフィギュアにとって重要だ。トリプルアクセルなどのジャンプをはじめ、足を背後から頭の上に上げて回転する「ビールマンスピン」などで高得点を出すためにも腰痛は避けなければならない。肝心要の“持病”を克服したとあれば、これ以上の喜びはない。

 現地でも腰痛に効く治療器が置かれたマルチサポートハウスを利用するなどし、再発防止に努める。また団体戦後、個人戦までの間の合宿地もアルメニアに加え、モスクワのリンクも押さえてある。天候などその時の状況次第で、体に合った最適な方を選ぶという。

 初練習後、韓国メディアから宿敵キム・ヨナ(23=韓国)について質問を受けると「ジュニアのころからのいいライバルで、年齢も近いのでメディアの方も、見ている方も(2人を)注目していると思う」と模範回答。前日は空港で韓国メディアに“包囲”されるハプニングがあったが、2度目の五輪とあって対応も慣れたもの。金メダルへここまでは順風満帆と言っていい。