【ロシア・ソチ4日(日本時間5日)発】初出場のフィギュアスケート男子・羽生結弦(19=ANA)はソチで初練習を行い、苦手の4回転サルコーにトライし成功。「サルコーの最大公約数が分かってきた」と独特の表現で自身の進化を告白した。

 世界のトップスケーターとして初の五輪を迎える羽生にとって、メダルの色はサルコージャンプの成否にかかっていると言っても過言ではない。昨年12月のGPファイナルではフリー冒頭の4回転サルコーで転倒。自己ベストを大きく更新して優勝したが、唯一の大きな失敗に悔しさをつのらせた。

 4回転サルコーに失敗しても勝てるだけの力があることの証明と同時に、成功させれば金メダルの確率は大幅アップ。最大のライバルとみられるパトリック・チャン(23=カナダ)でも手が届かない高得点をマークする可能性も十分にある。

「調子が悪ければ、ジャンプは跳ばなくてもいいと思っていた」という午前の初練習ではトリプルアクセルまでだったが、午後には課題の4回転サルコーを解禁。「今日は力を使って跳んでいるジャンプなんで」と調整段階を強調したが、転倒などのミスもあるなかでトーループも合わせ4度の4回転を成功させた。

 サルコーについて羽生は「昨年の夏ぐらいに戻ってきたかな。ただ、あの時は何をしても跳べていたけど、どうやったら跳べるのか分かっていなかった。今はサルコーの最大公約数みたいなものが分かってきた」

 本人にしか分からない世界だが、要は感覚だけで跳んでいたところから、何を意識すれば成功するのか、頭で理解したうえで、跳べるようになったということ。自ら明かした進化の証し。それだけに「調子の波もあまりなくなっている」という。

 普段は個人で戦っているだけに、初めて日の丸のついたウエアに袖を通しての練習に「しっくりきてない」と苦笑い。それでも、本番では日本中を熱狂させる演技を見せてくれそうだ。