【ロシア・ソチ3日(日本時間4日)発】日本選手団のメダル候補たちが続々と現地入りした。悲願の金メダルを狙うフィギュアスケート女子の浅田真央(23=中京大)は5日にソチに入る予定。今度こそ宿敵キム・ヨナ(23、韓国)に勝てるのか? 日本中の視線が注がれるなか、ヨナの元コーチで現在は羽生結弦(19=ANA)を指導するブライアン・オーサー氏(52)が本紙に重大指摘。「今回は真央が勝つ!」と断言した。

 ヨナの元コーチとして知られるオーサー氏は、ヨナとたもとを分かった後は契約解除をめぐって泥沼の非難合戦を繰り広げた。互いに中傷し合うなど師弟関係に亀裂が入っていたが、最近ではよりを戻したとみられ、関係改善が進んでいる。いわば、ヨナを知り尽くす重要人物の一人だ。

 前回の2010年バンクーバー五輪ではオーサー氏の指導を受けたヨナが真央を退け、金メダルを獲得した。あれから4年がたった。真央とヨナの差はどこまで縮まったのか。そして、どちらが勝つのか。世界中のフィギュアファンが知りたいところだ。

 この日、教え子の羽生とともにソチに入ったオーサー氏は「キム・ヨナの今季の演技は見ていない。ユーチューブでチェックしたぐらいだ」と前置きしたうえで、かつての愛弟子の力が現在も世界トップクラスにいることを強調。「キム・ヨナはとても手ごわい。スケートもうまくなった印象だ」と4年前からの進化を認めた。

 しかし、ソチのリンクで勝利の女神がほほ笑むのはヨナではなく、真央の方だという。

「今回は真央の番だと思うよ。すべては偶然だし、これは競技で何が起こるかわからない。でも、彼女は力強い(トリプル)アクセル(3回転半ジャンプ)を手に入れた。きっと大丈夫なはずだよ」(オーサー氏)

 4年間の成長度では真央がヨナを上回っているというのだ。

 なかでもオーサー氏が高く評価するのが、真央のショートプログラム(SP)の完成度。真央がショパンの名曲「ノクターン」に乗って優雅にのびやかに表現する姿は多くのファンの心をつかんでいるが、オーサー氏も同じ気持ちだという。「SPは美しい。あの演技は好きだよ」と名伯楽がうっとりとした表情で話した。

 オーサー氏にとってもソチ五輪は特別な意味を持つ。「とにかく見てみよう。本当にいい勝負になると思うよ」

 真央にとっては思わぬところからの“援護射撃”となったが、日韓のフィギュアスケート事情にも詳しいオーサー氏の目利きは本物。関係改善が進んだ現在では“ヨナ憎し”の感情から真央を立てたわけでもないだろう。

 真央はソチでまず8日(日本時間9日)の団体女子SPを滑る見込みで、ヨナとは19日の女子SP、20日のフリーで激突する。オーサー氏の“ご託宣”は頼もしいデータとなりそうだ。