【ロシア・ソチ3日(日本時間4日)発】フィギュアスケート男子・羽生結弦(19=ANA)は練習拠点のカナダ・トロントからソチ入りした。男子の代表3人のなかで最も若いが「五輪だから特別に力が入るわけでもなく、何か違うことをするわけでもなく、いつも通りの練習をしてきました」と冷静そのもの。他国のメディアやボランティアスタッフから奇異の目で見られながらも空港に詰め掛けた50人以上の報道陣を前に「メディアの数だけが不自然な感じ」と笑みを浮かべた。

 機内ではイメージトレーニングを繰り返していたとのこと。「目をつぶるとサルコーとトーループしか浮かんでこなかった。寝ている間はうなされていたけど、そんなに悪い夢は見ていないと思う。ジャンプは全部跳べていました」。世界が認める金メダル候補に焦りの色は何ひとつ見られなかった。

 空港を出る直前にはブラジルのメディアにマイクを向けられ「頑張ります」とひと言。ラジオテレビジョンレコードのアンドレ・タル記者は「ブラジルで一番人気の冬のスポーツはフィギュアなので、彼を知っている人は多い。五輪後にはもっと有名になっていると思う」。同局のニュース映像はケーブルテレビなどを通じ世界中のブラジル人が視聴可能だという。

 また、羽生はロシア代表に“皇帝”エフゲニー・プルシェンコ(31)が選ばれたことについても「テレビで見ていた存在なので楽しみ」としながら「僕の演技に影響を与えるわけじゃない」とライバル視はしていない。一夜明けた4日にはソチでの初練習を行う。「長時間のフライトだったのでまずは体を起こすことから始めたい」。かつて憧れたレジェンドを乗り越え、新たな皇帝となる第一歩を踏み出す。