【フィギュア・四大陸選手権】羽生スーパースラム6冠達成の裏 「神グッズ」も再び脚光

2020年02月10日 16時40分

羽生は別格の存在感を見せた(ロイター)

 伝説の扉が再び開いたということか。フィギュアスケートの四大陸選手権(韓国・ソウル)の男子フリー(9日)で、五輪2連覇の羽生結弦(25=ANA)が187・60点をマーク。合計299・42点で大会初優勝を成し遂げ、男子史上初のシニア&ジュニアの主要6冠「スーパースラム」を達成した。今大会では「平昌五輪プログラム」への回帰が話題を独占。「レジェンド」の呼び声も高い楽曲が復活したことで、あの“神グッズ”も再び脚光を浴びようとしている。

 連覇を成し遂げた2018年平昌五輪と同じ“金のプログラム”が約2年ぶりに韓国の地で再現された。世界最高得点(111・82点)をマークしたショートプログラム(SP)の曲「バラード第1番」(ショパン)と同様に、映画「陰陽師」に使用されたフリー曲「SEIMEI」が奏でられた瞬間、伝説がよみがえった。

 ルール改正で演技時間が30秒短くなったため、後半の曲調がテンポアップ。終盤は4回転トーループの転倒もあったが「ものすごく自分でいられる」(羽生)という特別な思いを氷上で体現。リニューアルした令和版「SEIMEI」を滑り終えると「やっと勝てて良かった」と笑った。昨年12月のGPファイナル、全日本選手権での連続2位から見事な復活となった。

 試合後、3月の世界選手権(カナダ)での人類初となるクワッドアクセル(4回転半ジャンプ)挑戦について「一応、そのつもりではいる。(ただ)確証はない。結構立ちはだかる壁は高いので」と話したが、それ以上に楽曲への言葉がとめどなくあふれた。「皆さんの思い出を壊したくないのが一番。皆さんが何回も見て残っている平昌五輪のイメージを壊さないように」と語り、SPに関しては「音と一体となった」とさえ言った。

 その「音」は平昌五輪の閉幕とともに一度は封印。しかし、羽生は「できれば寝かせてあげたかったけど、もう少しだけこの子たちの力を借りてもいいかな」と再び扉を開けた。同時にファンの間で「神」とあがめられるオルゴールも、目覚めることになった。

 平昌五輪の思い出が詰まった「バラ1」「SEIMEI」が収録されたオルゴールは、18年10月の発売と同時に予約が殺到する人気ぶり。楽曲を変更した現在まで断続的に売れ続け、昨年12月の全日本選手権の会場でもブースに人だかりができた。何より、発表当時から話題になったが、羽生自身がオルゴールを監修している点が“お宝感”に拍車をかけた。

 製造元の日本電産サンキョーによると「『SEIMEI』は、楽曲の中からオルゴールにしたい部分を羽生選手に指定していただき、編曲を行いました」というこだわりがある。羽生は多忙な合間を縫って担当者と5、6回と打ち合わせを重ねた上で、思い出を具現化したのだ。今回の楽曲復活で、再びオルゴールは注目度を増した。同社は「平昌五輪での素晴らしい曲をまたファンの方に楽しんでいただけると、私どもも期待しています」と大喜びだ。

 もしかすると眠っていたオルゴールこそが、羽生を再び輝かせたのかもしれない。