【韓国・ソウル7日発】フィギュアスケートの四大陸選手権の男子ショートプログラム(SP)が行われ、五輪2連覇の羽生結弦(25=ANA)が世界歴代最高の111・82点をマークして首位発進を決めた。18年平昌五輪以来、約2年ぶりに韓国の地で氷上に立った絶対王者。いまや伝説となった楽曲とプログラムを復活させ、男子史上初となるシニア&ジュニアの主要タイトル6Vの「スーパースラム」に王手をかけた。

 大会前、異例となるシーズン途中でのプログラム変更を発表。2連覇を達成した2018年平昌五輪で使用したSPの「バラード第1番」、フリーの「SEIMEI」は“伝説”として一度は閉じられたが、羽生は「ものすごく自分でいられるなって思って」「もう少しだけこの子たちの力を借りてもいいかな」と封印を解くことを決断した。

 万感の思いが詰まった「バラード第1番」の音色とともに、羽生のSPの演技はスタート。冒頭の4回転サルコーを着氷させると、続く4回転トーループ―3回転トーループも4・21の加点を叩き出して成功。スピン、ステップも取りこぼすことなく、演技後半で基礎点1・1倍となるトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)も完璧に決め、思い出の曲に乗せてパーフェクトに滑り切った。

 試合後はファンの大声援に笑顔で応え、氷上に投げ込まれた大量のプーさんを自ら片付ける気遣いと余裕さえ見せた。


 試合後、羽生は「久しぶりに納得できるSPができたなあと思ってはいます」と第一声。世界最高得点と知らされると「そうだったんですね」と笑顔を見せつつ「112点を目指して、まだまだコンポーネンツだったり、上げられる点数はあると思うので、いろんな質を高めていけたらと思います」と語った。

 9日のフリーへ向けては「しっかり休んで、あさっての気持ちで、あさってだけの『SEIMEI』をやれたらいいなと思います」と誓った。

 首位を守って優勝となれば、シニアの五輪、世界選手権、GPファイナル、四大陸選手権、ジュニアの世界選手権、GPファイナルの6冠となり、男子史上初の「スーパースラム」の達成となる。