【フィギュア全日本】まさかのジャンプミス連発で2位 羽生どうなる?V宇野との関係

2019年12月23日 16時30分

演技に納得いかない羽生は天を仰ぎながら絶叫

 これは世代交代と言えるのか? フィギュアスケートの全日本選手権(東京・代々木競技場第一体育館)で衝撃の結末が待っていた。男子で4季ぶりVを狙った五輪2連覇の羽生結弦(25=ANA)がフリー(22日)でジャンプのミスを連発。大逆転で平昌五輪銀メダルの宇野昌磨(22=トヨタ自動車)に優勝をさらわれ、直接対決で初めて土がついたのだ。試合後に両雄は「昌磨」「ユヅくん」と呼び合って激闘を振り返ったが、そのやり取りに今後の勢力図のヒントが隠されていた。

 これは本当に羽生なのか。目を疑うような信じられない光景だった。冒頭の4回転ループが乱れ、その後もジャンプを3連続でミス。トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)で転倒し、ジャンプ7本中で5本が減点となった。

 試合直後、羽生はうつろな表情で取材スペースに姿を現した。普段では考えられない小さな声で「言葉が見つからない。すいません」と漏らし、敗因について「全部、言い訳になるから…。しゃべりたくないのが本音」と言うのが精一杯。その後は「イメージと体のキレが分離していた。体力があれば何とかなったかもしれないけど」と5週で3大会(NHK杯、グランプリファイナル、全日本選手権)出場の激戦による疲労を示唆したものの「競泳の選手なんかは何レースも試合に出るし…」と珍しく発言がブレた。「今、自分の言動がどうなっているか全然わからない。気持ちとしゃべっていることが別々になっている」。まさにぼうぜん自失だった。

 だが、会見場で宇野と隣に並ぶと一変。いつもの表情を取り戻した羽生は「この場だから言いますが、やっと昌磨が心から全日本王者と言えるようになったんじゃないですかね」とニッコリ。すると、宇野も下を向いて苦笑い。ここから2人は一気に感情をオープンにしていく。これまで羽生不在の全日本で3連覇した宇野は「正直、日本の誰もが僕が1位に3回なったことを気づいていなくて(笑い)。日本中の全員が日本で一番うまいのはユヅくんと思っている。一度でいいから勝ちたかった。スケート人生の大きな一つの目標でした」と本音を漏らした。

 さらに、会見中に2人の関係性を象徴するシーンも。宇野は冒頭で「羽生選手」と呼んでいたが、途中から「ユヅくん」に変化。それに呼応して羽生も「彼」から「昌磨」に変えた。これについて宇野は「僕はずーっと、ユヅくんって呼んでますよ。でも、以前に(公式の場では)羽生選手って呼んだほうがいいって人に言われて変えたんですけど、ここではいいかなって思って」と本紙に説明。激闘を演じた直後の2人にしか分からない距離感が存在しているということだ。

 これまで圧倒していた羽生が宇野を完全に「ライバル」と認識したのも間違いない。日本スケート連盟の伊東秀仁フィギュア委員長(58)は「これで終わりじゃない。2人の戦いはこれからもずーっと続きますよ」。羽生にとってもある意味、新たな発奮材料になる。

 本人も会見終盤には「こんなもんじゃねーぞ」とすっかり前向き。世界選手権(来年3月、カナダ)へ向けて「昌磨という“壁”があるので」とおどけると、宇野は「低い壁」をジェスチャー。まさかの逆転劇が2人の関係性にどう影響していくのか、今後も注目だ。

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