フィギュアスケート全日本選手権の男子フリーは22日、東京・国立代々木競技場で行われ、シングルでのラストゲームとなった高橋大輔(33=関大KFSC)は204・31点で12位だった。

 演技終了後、会場からは「大ちゃん」コールが湧き起こった。冒頭に3回転フリップを着氷させたが、続くトリプルアクセル―2回転トーループの連続ジャンプの着氷が乱れた。後半は3回転ルッツ―2回転トーループのコンビネーションを着氷させたものの、3回転フリップは転倒。それでも、最後は力を振り絞り世界一と称されたステップを刻んでフィニッシュ。

 ミスが目立つなど、納得のいく演技ができず「最後にふがいない演技をしてしまって申し訳ないし、悔しいです」と唇をかんだ。来年1月からはアイスダンスに転向するため「シングルが最後っていうのは、僕の中では大きなものではなかった」と常々口にしていたが、鳴りやむことのない拍手を聞いて気持ちが変化したという。「実感が湧いて、しゃべっているとウルッとしてしまいました」

 高橋が全日本で初優勝を果たした14年前は、浅田真央(29)ら女子フィギュアの全盛期。男子に光が当たることはほとんどなく「成績を出さないといけないと思っていた」と地道に努力を重ねた。結果としてバンクーバー五輪で銅メダルを獲得。同年の世界選手権で金メダルを獲得するなど男子フィギュア界の礎を築いてきただけに、多くの観客の声援が心に深く届いたのだろう。

 そんなレジェンドがシングルの舞台から去るが、村元哉中(26=木下グループ)とのコンビで再スタートを切る。「来年も(全日本に)戻ってこないとやばい(笑い)。次は一人じゃないので、わがままも言えない。哉中ちゃんにしごいてもらいたい」と22年の北京五輪へ向けて気合十分だ。