【フィギュアNHK杯】羽生SP首位発進でふっ跳ぱした!織田ショック

2019年11月23日 13時00分

圧巻の演技で首位発進の羽生

 フィギュアスケート界を襲った“織田ショック”を絶対王者が救った。グランプリ(GP)シリーズ第6戦NHK杯(札幌市・真駒内セキスイハイムアイスアリーナ)で、五輪2連覇の羽生結弦(24=ANA)が躍動した。札幌市内は“ゆづ人気”でお祭り騒ぎの一方、大会直前には降って湧いた「モラハラ騒動」でフィギュア界は最悪の雰囲気。独り歩きした“ある発言”が業界関係者を大激怒させたが、それを見事に払拭したのが千両役者の羽生だった。ただならぬ裏舞台を詳報する――。

 困った時の羽生頼み。そんな格言を感じさせる安堵の空気がフィギュア界に広がっている。

 今大会前に、関西大学のアイススケート部元監督でプロスケーターの織田信成氏(32)がモラハラ行為を受けたとして1100万円の損害賠償を求めて提訴。その相手が今大会出場の紀平梨花(17=関大KFSC)のコーチ、浜田美栄氏(60)だから穏やかでない。前代未聞の指導者同士の訴訟問題。それも監督がコーチから無視や嫌がらせを受けたとし、涙ながらに会見したのだから衝撃が走るのは当然だ。

 開幕前日は必然的に浜田コーチに異様な注目が集まり、日本スケート連盟サイドも対応に困った。一部関係者からは「何もこんな時期に提訴しなくても」と疑問視する声が上がったが、中でも織田氏の「フィギュアスケート界の悪癖へ一石を投じる思い」の発言にはブチ切れた者もいる。浜田コーチ、織田氏をよく知る関係者は本紙にこう漏らした。

「今回は単なる個人の感情の問題。それを『組織』の話にすり替えるのは理解できない」

 この織田発言に対し、元フィギュアスケーターの渡部絵美氏(60)もテレビ番組内で「氷山の一角」と追随。織田氏個人の訴えがあたかもフィギュア界全体が抱える問題のように扱われたことに、前述の関係者は「好き嫌いは人間誰しもあるし、どこの世界にもいざこざはある。提訴するのは自由だが、フィギュア界に闇があるような誤解を招く」とかみついた。

 そうした最悪の雰囲気が満ちた中でNHK杯が開幕。この流れを断ち切ったのが羽生だ。22日の男子ショートプログラム(SP)ではノーミスの演技を披露して首位発進。プーさんが氷上に投げ込まれる光景はいつもと変わらない。そのど真ん中に立ったプリンスは「皆さんの力を近くで感じる」「緊張感とともに滑るのはなかなかない」と持ち前の“神コメント”を発した。この様子がNHKの生中継で伝えられたことで、一連のモラハラ問題のマイナスイメージはきれいに吹っ飛んでしまった。

 リンク外でも同様だ。羽生が“上陸”した札幌市内の宿泊施設では、価格の地殻変動が起こるほどの盛り上がり。同市内のホテル業界では「羽生価格」なるキーワードが存在し、某ホテル責任者は「この週末は通常の祝日の数倍。羽生選手が来ると決まった時点で値段がつり上がりました」と明かす。会場の最寄り駅、バス停には「23日のチケット譲ってください」と書かれたボードを持つ女性ファンが立つ、これまたおなじみの光景もあった。

 いまや羽生の行く先々に人・モノ・金が流れ、プリンスが歩けば経済が動く――。フィギュア界の唯一無二の存在は“織田ショック”も消し去った。もう誰も羽生に足を向けて寝ることはできない…ということか。