【NHK杯】羽生 唯一の100点超えSP首位「応援を心で受け止め切れた」

2019年11月22日 22時21分

SP首位の羽生はファンの声援に応えた

 フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ第6戦NHK杯(北海道・札幌市、真駒内セキスイハイムアイスアリーナ)の男子ショートプログラム(SP)が22日に行われ、五輪2連覇の羽生結弦(24=ANA)が唯一の100点超えとなる109・34点で堂々の首位発進を決めた。

 今大会はグランプリ(GP)ファイナルの出場が懸かる大事な一戦。昨年、ケガで出場できなかった羽生は前日から「今回はGPファイナルというプレッシャー、けがをしたくないという自分への暗示みたいなものが、すごいゴチャゴチャになっている」と口にしていた。

 他の追随を許さぬ実力と実績を誇りながら、常に新境地で前人未到の地を進む絶対王者。いつものように大歓声の中で登場した羽生は冒頭の4回転サルコーを完璧に決めると、続くトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)、4回転―3回転の連続トーループを着氷。凡人から見ればパーフェクトな内容だったが、演技後の王者は「正直ちょっと悔しいところがあります」「出来自体が完璧には程遠い」とやや表情は冴えない。スピン、ステップに不満が残るといい「手応えとして、もっとできた」「練習が足りないと突きつけられた」と反省の弁を口にした。

 とはいえ、この日も演技後に、くまのプーさんのぬいぐるみが乱舞するおなじみの光景。「生の皆さんの力を近くで感じる」「緊張感とともに滑るのはなかなかない」と、会場の“熱”を全身で感じていた。

 氷上では天を仰ぎ、小さく拍手し、胸に手を当てる変幻自在なポーズを取った。これについて羽生は一つひとつ丁寧に説明。「天を仰いだのはホッとした」「SPでいい演技をしたら拍手するルーティン」、そして「皆さんの応援を心で受け止め切れた」との意味で胸に手を当てたことを明かした。

 唯一の100点超えの首位発進。圧倒的な実力差で2位以下を引き離すが、そんな単純すぎる現実には興味がない。「スケートは勝つためにやっている。みじめな姿は見せたくないのはすごくあるし、自分ができるマックスの構成ができないならやめると思います」。そう決意を口にした羽生は、とめどない思い、苦悩、ロマンを立て板に水のごとく語りだした。

「僕も人間なので弱いときは、すごく弱い。ただ、強い自分をみなさんが印象を強く持っていてくださることによって、僕も常に強くいなくてはいけないと思っています。羽生結弦はこうだよねっていうのを期待してくださるからこそ強くありたい。時にはプレッシャーになって弱い自分が露呈するキッカケにはなるけど、そのプレッシャーがあるから強くありたいと思える」

 日本中のフィギュアファンの期待を背に、王者にしか見えない別次元の勝負は今後も続く。