スケート界の“モラハラ問題”が半歩前進だ。フィギュアスケートの2010年バンクーバー五輪7位でプロスケーターの織田信成氏(32)が関西大学アイススケート部監督を退任し、その理由で大学側と主張が食い違っていたとブログで訴えた件で、関大は4日、公式ホームページに芝井敬司学長名で謝罪文書を掲載した。

 文書には「私たち関西大学は慎重に対応してきたつもりですが、結果として織田信成さんの心情を十分に斟酌できず、事態を適切に収拾できなかったことを深く反省しています。今後とも、誠意をもって対話を続けたいと思います」などと記されている。織田氏はブログで、リンク内で嫌がらせやモラハラ行為を受けて体調を崩したため監督を辞任したと主張して衝撃を呼んだ。関大は9月30日にも文書を公表しているが、この時はやや反論めいた内容。今回は一転して折れる形に終始したことは進展だろう。

 一方、当の織田氏は“貝”に徹した。この日は「ジャパン・オープン」&「カーニバル・オン・アイス」(5日、さいたまスーパーアリーナ)の前日練習を行ったが、午前と午後の2回、メディア非公開の時間帯にリンクに出たのみ。最後まで報道陣の前に姿を見せることはなかった。織田氏はある特定のコーチから断続的にモラハラ行為を受けていたとされるが、現在も嫌がらせの内容や程度、肝心のコーチの名前も明かされておらず、真相は闇の中だ。

 この日は日本スケート連盟の前会長、橋本聖子五輪相(55)が閣議後に「伝統あるアイススケート部だ。(関係者間で)しっかりと協議を重ねて、よりよいスポーツ環境をつくりあげていくよう努力をしてほしい」と言及。大臣がコメントを出すほど事態が広がりを見せる中、大学側は和解の意思を示したが、果たして織田氏はどう出るか?