フィギュアスケートの2014年世界選手権銀メダリストで元プロスケーターの町田樹氏(29)が9日、都内で行われた映画「氷上の王、ジョン・カーリー」(31日公開)のジャパンプレミアに出席。上映後、羽生結弦(24=ANA)らトップスケーターの振付師として活躍する宮本賢二(40)とトークショーを行った。
14年12月に現役を退き、プロスケーターとして活躍していた町田氏。昨年10月に引退後、初めてファンの前で「令和」のフィギュア界を予言した。
近年はジャンプの技術が急激に向上し、来季は宇野昌磨(21=トヨタ自動車)が5回転ジャンプ挑戦を示唆しているが、この現状について町田氏は「その技術を使って何を表現したいか? それを頭に入れないと“ジャンプ大会”になってしまう」と警鐘を鳴らした。その上で「間違いなくAI(人工知能)が関与してくる」と大胆に予言した。
現在、体操界ではAIによる採点支援システムが開発され、東京五輪でも導入される予定。そこに言及しつつ「近代スポーツは勝ち負け、優劣が客観的に決められなければいけない」と採点競技としての在り方を指摘。さらに「でもAIが好む演技ばかりでは面白くない」との持論を展開し、新時代は「AIに支配されない演技をした者がスターのポジションに就く」と明言した。
現役当時から文学的な表現を駆使した「町田語録」は人気を博したが“氷上の哲学者”ぶりは健在だった。