ニューヒロインは来季も進化できるのか――。フィギュアスケートの世界国別対抗戦(マリンメッセ福岡)で、女子フリーで5位に終わった紀平梨花(16=関大KFSC)が14日のエキシビションに登場。大会の主役らしく超満員の会場を盛り上げ、世界に衝撃を与えたシニアデビューシーズンを締めくくった。すでに来季を見据え、早々と「4回転ジャンプ」の挑戦を明言。その成功のカギを握る“神アイテム”の構想を本紙に語った。

 シニア転向の今季、グランプリ(GP)ファイナル制覇、国際大会6連勝など飛ぶ鳥を落とす勢いで快進撃を続けてきた。世界国別対抗戦のフリーではさすがに疲労を隠せず2度転倒。合計で日本は2位で、連覇を逃した。紀平は有終の美こそ飾れなかったが「万全の準備をして、もっと強くなりたい」と過去を振り返る気は毛頭ない。来季へ向けて「バレエの練習を増やしたり、トレーニングのメニューを決めたり…」と、はやる気持ちを抑えられない様子だった。

 さらなる進化へ、最大のテーマは「4回転ジャンプ」だ。すでに練習では経験済みだが、最近は試合やアイスショーに忙しくなり、練習をストップさせていた。この日からオフに突入するため「今からやっと4回転の練習ができる! 期間が空いても片足で降りられるようになっている」と意欲満々だ。

 そのための準備も抜かりない。まずは今季終盤から頭を悩ませたスケート靴。履き心地や硬さの微妙な調整を合わせ切れず、トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を失敗するシーンが目立った。そこで紀平は「長く持つ靴を選びます」とニューシューズの導入を決定。試合直前にテープを何度も巻き直したドタバタ劇はもう繰り返さない。

 さらには、最大のアイテムが4回転ジャンプを盛り込むフリーの演技で着る衣装だ。紀平は今季から大阪にあるバレエ・ダンス用品の総合メーカー「チャコット」の衣装を着用。昨年9月のシニアデビュー戦「オンドレイ・ネペラ杯」で初めて袖を通してから連勝街道を突っ走り、数々の大逆転Vを演出してきた。

 一時は無敗神話をつくった“神衣装”について紀平は「すごく着心地が良くて、あんなにかわいく作ってくれてうれしい」と絶対的な信頼を置いている。そこで来季も相性の良さにあやかろうと「チャコット製」の採用を決断。今季に引き続いてトム・ディクソン氏に振り付けを依頼し、曲が決まり次第、自らデザインに携わって作製する。

 テーマはもちろん“4回転ジャンプ仕様”だ。このニュー衣装について、紀平は「よく伸び縮みする素材で、ジャンプした時を考えて重さとか左右差を考えて作ります」と構想を本紙に明かした。より高いジャンプを生み出すための軽量化、さらに伸縮性などを考慮し、5月中にも着手するという。

 ゲンのいい最高の“神アイテム”の完成は間近! 夢の4回転ジャンプを支える最大のパートナーとなるだろう。