【全日本フィギュア】宇野がSP首位発進 直前にアクシデントも「強い自分を出せた」

2018年12月22日 21時57分

首位発進を決めた宇野昌磨

 全日本フィギュアスケート選手権(21~24日、大阪・東和薬品ラクタブドーム)の男子ショートプログラム(SP)が22日に行われ、3連覇を狙う平昌五輪銀メダルの宇野昌磨(21=トヨタ自動車)が圧巻の演技を披露。大台を超える102・06点をマークし、88・52点で2位の高橋大輔(32=関大KFSC)に13点以上の差をつける堂々の首位発進を決めた。

 成し遂げたいのは唯一、自分を信じること――。そう前日に語った信念を具現化する完璧な演技だった。冒頭の4回転フリップを成功させると、その後も冷静かつ気合の滑りを見せ、演技を終えると右の拳を強く握ってガッツポーズ。寡黙な男が珍しく感情をあらわにした。

 ミックスゾーンに引き揚げた後も高ぶりは収まらない。「うれしいではなく、やってやったぞ!という強い思い。少しでも弱い自分を見せたら、大崩れしてしまうと思った。今日は強い自分だけがいた。ただただ自分に打ち勝った。すごくいい演技だった」と胸の内を一気に吐き出した。

 しかし唯一、心に秘めたモノもある。実は演技直前の「6分間練習」で、宇野は一度もジャンプを跳ばなかった。顔をしかめ、足を気にするしぐさもあり「ケガをしたのでは?」とささやかれた。何らかのアクシデントがあったのは明白だが「気づいている人もいるかもしれませんが、詳しいことはフリーが終わるまで何も言いたくないし、言い訳したくない」と徹底して“貝”になった。

 そんな不測の事態が、むしろ最高のパフォーマンスを引き出した。「何も跳ばず本番に挑むことになったが、逆にコールされてからスイッチが入った。追い込まれたことで逆に強い自分を出せた。余裕がなかったから演技だけに集中できた」と振り返る。

 今季復帰して大注目を集める高橋の存在も大きい。「憧れで尊敬する選手ですが、現役として負けられない」と言いつつも「期待やプレッシャーがボクにではなく、高橋大輔選手に向いていると薄々感じて、緊張せず試合に挑めた」と自己分析した。

 24日には3連覇を懸けてフリーに臨む。「ボクが2連覇しているのは結果。日本一の選手とは誰も思っていないでしょう。もちろんボクも思っていない」。そんな言葉とは裏腹に、表情には「日本一」への渇望がにじみ出た。

 一方、今季現役に復帰し、5年ぶりの出場となった高橋はブランクを感じさせないノーミスの演技。2010年バンクーバー五輪銅メダルをはじめ、数々の実績に恥じぬ滑りで宇野を追う2位発進に「やっぱり全日本は一番しっくりくる。この場所、居心地がいいです」と笑顔を見せた。高橋が登場すると明らかにこの日一番の盛り上がり。「D1SK]と書かれたカラフルな応援タオルが会場を彩った。「高橋大輔ってレジェンドとかって言われてたので(笑い)。そう言われるだけあるなって感想をもらえたらうれしいです」と照れ笑いを浮かべた。