フィギュアスケートのグランプリ(GP)ファイナル(カナダ・バンクーバー)で初出場優勝の快挙を成し遂げた紀平梨花(16=関大KFSC)が11日、成田空港に帰国した。

 日本人では浅田真央以来となるシニア1年目のGPファイナル制覇を果たし、衝撃のシニアデビューを果たしたニューヒロイン。ひと目見ようと集まったファンで、空港は歓喜の大混雑となった。

 集まった報道陣は70人以上。空港関係者によると警備員は通常より多い20人を配置し、到着ロビーはスマホを手にしたファンでごった返した。飛行機が到着しても、紀平は最後の一人になるまで機内に残った。「お化粧をしていたようです」(空港関係者)。そのまま搭乗口を通ってファンの前に姿を現すと、一斉に歓喜のフラッシュがたかれた。

 メダルを手にした新女王は「ファイナルって、こんな大きな試合というのを改めて実感しています」と満面の笑み。さらに言葉を選びながら「これだけ注目していただけるのはすごくうれしいですし、この注目を力に変えられるように頑張りたいです」とファンへの感謝を忘れなかった。

 これだけの偉業を成し遂げながら、決して満足はしていない。優勝という最高の結果を出しながら、「自己採点は」と問われると「85点です」。囲み取材中も喜びの言葉より、今後の「課題」を多く口にした。

「やっぱり全ての試合で完璧ってわけではなかったので。順位はうれしかったんですけど、うまく筋肉の状態をコントロールできない試合もあった。そういうところが(マイナスの)15点ですね」

 今大会はショートプログラム(SP)でルール改正後の世界最高得点となる82・51点をマーク。堂々の首位で迎えたフリーでは序盤にミスがありながら、攻めの姿勢で盛り返して150・61点を叩き出した。自己ベストとなる合計233・12点で世界の頂点に立ったが「ホントに完璧な演技をすれば(フリーで)160点も見えてくる」とさらに上を見据える。「だからもっと気を引き締めていかないと、その壁は遠いんじゃないかと思う。どの試合でも完璧を目指して結果がついてくればいいと思います」

 フィギュア界が熱狂する一方で、恐ろしいほどの冷静さ。その頭の中は、我々の想像のはるか先を行っている。