【NBA】KJ松井が解説 シーズン勝率1位・バックスはなぜプレーオフ敗退したのか

2020年09月14日 14時00分

【KJ松井のCatch&Shoot(34)】米プロバスケットボールNBAのプレーオフで、ミルウォーキー・バックスが東地区準決勝で1勝4敗という予想外の成績で敗退した。レギュラーシーズンでは56勝17敗で、全体1位の勝率76・7%と圧倒的な強さを見せていたV候補がなぜ早々と敗れ去ったのか。本紙バスケット評論のBリーグ・京都ハンナリーズ松井啓十郎(34)が解説する。

 東地区5位のヒートとの対戦となったプレーオフ準決勝でバックスはいきなり3連敗しました。「バブル」(フロリダ州オーランドでの集中開催)に入ってから本来の調子が感じられなかったバックスと、プレーオフ1回戦でペイサーズに4連勝して勝ち上がって素晴らしい出来だったヒートの対戦とはいえ、この展開は誰も予想していなかったでしょう。

 バックスは昨シーズン、東地区決勝でラプターズに敗れて「ファイナル」(年間王者決定シリーズ)進出を逃しただけに、今年こその意気込みは強かったと思いますが、ヒートとの第4戦でエースのヤニス・アデトクンボ(25)が右足首を負傷。この試合は勝ちましたが、いっぱいいっぱいになっていました。

 そのバックスの敗因はヤニスの「1対1」にこだわりすぎたことだと思います。インサイドとドライブの強さはズバ抜けているヤニスですが、スリーポイントシュートはほとんどありません。これは守る側にとっては「オプション」を一つ消せることになります。

 NBAを代表するポイントゲッターのレブロン・ジェームズ(35=レイカーズ)やジェームズ・ハーデン(31=ロケッツ)はスリーポイントも打ちますが、それがないとなると、外でボールを持っている時は少し引いて守ることができます。相手が中に入ってきた時には他の選手を守っていた選手がヘルプに行けるので最低2人、場合によっては3人がかりで徹底的に守る。ゴール下まで持ち込まれるとかなりの確率で得点されるか、ファウルをしてフリースローを与えたりしますが、中距離のジャンプシュートなら100%入るわけではないので、ある程度打たせていい。その作戦に対して、ヤニスの1対1にこだわったのがバックスが敗れた理由ではないでしょうか。

 一方のヒートはバム・アデバヨ(23)以外の選手が皆スリーポイントシュートを打てるので、試合中はコート上のいろいろなところにボールがあり、バックスとは真逆のようなスタイルでした。「勝たなきゃならない」というプレッシャーがあったバックスと、1回戦でスイープ(4戦全勝)した勢いで来たヒートが初戦を勝ったことで、メンタル的な優位さが完全に逆転しましたね。東地区決勝の相手は同じようなスタイルのセルティックスが相手なので、面白い試合が見られると思います。

☆まつい・けいじゅうろう 1985年10月16日生まれ。東京都出身。バルセロナ五輪の「ドリームチーム」を見た父親の勧めで小学1年からバスケットを始め、イベントでマイケル・ジョーダンと1対1で対戦したことがある。高校から米国に渡り、コロンビア大学では日本人男子で初めてNCAA1部でプレー。卒業後は帰国し、昨季から京都に加入。ニックネームの「KJ」は、米国で「けいじゅうろう」を覚えてもらいにくいために使い始めた。188センチ、83キロ。

関連タグ: