【NBA】ボイコット騒動からプレーオフ再開 その裏にジョーダン氏&オバマ前大統領の助言が

2020年09月01日 11時00分

スーパースターだったジョーダン氏(右)がボイコット回避を助言(ロイター)

【KJ松井のCatch&Shoot(32)】 2019~20年シーズンの王者を決めるプレーオフを開催中の米NBAは、ウィスコンシン州で起きた警官による黒人男性銃撃事件への抗議のため26、27日に予定された6試合が延期となった。一部の選手から残り試合すべてをボイコットすべきとの声が上がる中、29日から再開となった裏にはマイケル・ジョーダン氏(57)、バラク・オバマ米前大統領(59)による助言があった。本紙バスケットボール評論のBリーグ・京都ハンナリーズ松井啓十郎(34)が解説する。

 プレーオフは、ウィスコンシンでの事件を受けて2日間試合が行われませんでした。今現在のNBAの選手は黒人が圧倒的多数で、裕福ではない環境で育った選手が少なくありません。そのためこうした事件が起きると、どうしても身近に感じてしまいます。

 さらに今回は7月上旬から(集中開催の)フロリダ州オーランドに隔離された生活が2か月弱も続いているという特殊な状況。レイカーズのダニー・グリーン(33)が「家族と離れて狭いエリアに2か月もいる。ここには多くの緊張がある」と話したように、選手たちのストレスもたまってきていると思われます。7月からのシーズン再開にあたっては、試合のコート上に「BLACK LIVES MATTER」(黒人の命も大事だ)の文字が表示されてメッセージを発信していたのに、事件が起きました。離れている家族が同様の事件に巻き込まれることもあるのでは…といった不安などが重なって、選手たちの感情が爆発したのでしょう。

 この事態の調整役となったのがホーネッツのオーナーで、NBA30チームの筆頭オーナーでは唯一の黒人でもあるジョーダンでした。まずは選手のストレスがたまっている状況を理解して、様々な声を自由に発信させることを他のチームのオーナーに求めました。一方で試合がなくなれば経営が苦しくなるオーナー側の立場も理解。残り試合のボイコットを主張した選手に対しては「『バブル』(オーランドで隔離された施設)でやろうと決めて皆、家族とも離れてやってきたのに自分たちだけやめるのは不公平ではないのか?」と諭しました。

 そして、もう一人の調整役がオバマ米前大統領でした。黒人初の米大統領になり、バスケットボール好きのオバマさんはNBAの中心人物でもあるレブロン・ジェームズ(35=レイカーズ)と選手会長のクリス・ポール(35=サンダー)に対して「まずはプレーすることが大事」と話すと2人は納得。他の選手たちも落ち着きを取り戻し、再開の流れになりました。

 オーランドでの集中開催では、NBAは新型コロナウイルスの感染者を出していません。このまま無事に年間王者を決める「ファイナル」まで終了してほしいものです。

 ☆まつい・けいじゅうろう 1985年10月16日生まれ。東京都出身。バルセロナ五輪の「ドリームチーム」を見た父親の勧めで小学1年からバスケットを始め、6年時にはイベントでマイケル・ジョーダンと1対1で対戦した。高校から米国に渡り、コロンビア大学では日本人男子で初めてNCAA1部でプレー。卒業後は帰国し、今季から京都に加入。ニックネームの「KJ」は、米国で「けいじゅうろう」を覚えてもらいにくいために使い始めた。188センチ、83キロ。