【KJ松井のCatch&Shoot】〝ルイ・シフト〟突破へ…八村に高めてほしい「ファウルをもらう技術」

2020年08月03日 11時30分

厳しいマークを受ける八村(右)(ロイター=USA TODAY Sports)

 米プロバスケットボールNBAは新型コロナウイルスの影響で中断していたレギュラーシーズンを再開し、ワシントン・ウィザーズの八村塁(22)に再び注目が集まっている。初戦(7月31日)でチームはサンズに敗れたが、八村はチーム最多の21得点、8リバウンドの活躍を見せた。ここで見えた課題と今後取り組むべきことは何か。本紙バスケット評論のBリーグ・京都ハンナリーズ松井啓十郎(34)が解説する。


 東地区9位でプレーオフ進出圏の8位以内を目指すウィザーズですが、初戦の相手は西地区13位で再開後に参戦している22チームの中では最も順位が下のサンズ。勝っておきたい試合でした。

 ただ、ウィザーズは主力のブラッドリー・ビール(27)とダービス・ベルタンス(27)が再開後のレギュラーシーズンに不参加で、若いチームです。一方、相手のサンズはリッキー・ルビオ(29)やデビン・ブッカー(23)といったエース級がいたので、その差が出たのだと思います。

 プレーオフ進出には一つも負けられないサンズとすれば、再開前の練習試合3戦すべてでチーム最多得点の八村選手を厳しくマークするのは当然のことです。リバウンドを取ったら自分でドリブルしてシュートまで持ち込む「コースト・トゥー・コースト」(コートの端から端まで、の意味で使われる)と呼ばれるプレーで持ち味を発揮したシーンは何度かありました。一方で、速攻ではない「ハーフコート・オフェンス」になると厳しくなっていました。

 今シーズン(中断前に)、30得点したこともありましたが、それはビールがチャンスをクリエートしてくれたから。そのビールがいない状況では、相手も八村選手に対して「ルイ・シフト」とでもいうようなコンパクトな守備体系を敷いて、守りのいい選手をつけることになります。

 八村選手の得意はミドルシュートですが、逆に言うとスリーポイントはそれほど得意ではないので打たれてもいい、その代わり中には入らせないというディフェンスをされています。さらに失点が多いと、相手に得点された時はエンドラインからスローインなので、そこから速攻に持ち込むのは難しい。そのために攻めあぐねることが多くなっている八村選手には、無理やり中に突っ込んでいってファウルをもらうプレーをしてほしいですね。

 ファウルをもらう技術を高めるのも、スコアラーになる条件です。これがうまい代表格といえばジェームズ・ハーデン(30=ロケッツ)。31日のマーベリックス戦では49点を挙げていますが、そのうちフリースローが18点。たくさん点を取る選手はシュートを決めるだけではなく、ファウルされて得たフリースローでも得点を稼いでいます。

 こういうプレーを身につけて攻撃の起点になり、点を取れるようになれば、来シーズンにビールと、今季はケガで全休したジョン・ウォール(29)が戻ってきた時にチームの攻撃の幅が広がって、八村選手ももっと楽に点が取れるようになるはず。強いチームは点を取れる選手が3~4人はいます。八村選手の得点力が上がれば、チームの成績も上がることにつながります。

 また、サンズ戦では第1クオーターに2つファウルが続いてベンチに下がることになってしまいましたが、最初はオフェンスファウルですし、2つ目も積極的に相手との間を詰めていたためでした。このことで前半の出場時間が短くなってしまいましたが、だからといってこの先は消極的になることなく、強気でプレーしてほしいです。

 ただし、ターンオーバー(シュートに至らずに相手にボールを奪われるミス)が5つ。それもNBAではあり得ないようなケアレスミスがあったので、そこはしっかり気をつけるようにしたいですね。

 まつい・けいじゅうろう 1985年10月16日生まれ。東京都出身。バルセロナ五輪の「ドリームチーム」を見た父親の勧めで小学1年からバスケットを始め、イベントでマイケル・ジョーダンと1対1で対戦したことがある。高校から米国に渡り、コロンビア大学では日本人男子で初めてNCAA1部でプレー。卒業後は帰国し、今季から京都に加入。ニックネームの「KJ」は、米国で「けいじゅうろう」を覚えてもらいにくいために使い始めた。188センチ、83キロ。