【松井啓十郎が緊急寄稿】さらばコービー!スーパープレーの源は「一番長く練習する」

2020年01月28日 19時00分

コービー氏は娘のギアーナさん(左)の成長を楽しみにしていた(2019年、ロイター=USA TODAY)

 米プロバスケットボールNBAのロサンゼルス・レイカーズで活躍したコービー・ブライアント氏が26日(日本時間27日)にヘリコプターの墜落事故により41歳で死亡したニュースは、バスケット界のみならず全世界に衝撃を与えた。突然の訃報に各方面で悲しみの声が広がる中、本紙バスケット評論家の京都ハンナリーズ、松井啓十郎(34)が緊急寄稿。ジュニア時代に対面した時のエピソードなども交え、ストイックにバスケと向き合ってきたスーパースターの早すぎる死を悼んだ。

 朝一番でコービーが亡くなったニュースを聞いて、ダウンな感じになりました。特に娘さんも一緒だったと聞いて…。僕も娘がいるだけに、なんとも言えない気分になりました。僕は2000年から09年まで米国にいましたが、このころはちょうどコービーの絶頂期。(06年1月のラプターズ戦で)81得点した時は何が起きたんだ?と思いながら映像を見ました。これはマイケル・ジョーダン(米国)も同じなんですけど、マジソンスクエア・ガーデン(ニューヨーク)での試合では活躍すると言われていて、ダブルクラッチからダンクを決めた時には、ホームのニックスファンで映画監督のスパイク・リー氏(62)がコートサイドであきれたような顔をしていた記憶があります。

 実は、僕はコービーと会ったことがあるんです。05年4月にナイキが主催する「フープ・サミット」(ジュニア・オールスター戦)で世界選抜のメンバーに選ばれて、米国選抜との試合のためにメンフィスに1週間ほど滞在しました。その時、ちょうどレイカーズ戦があり、コービーはナイキの契約選手ということで試合後、僕たちに会いに来てくれたんです。

 当時のレイカーズはすでにプレーオフ進出もなくなり、コービーも14分ぐらいしか出場しなかったので、試合でのプレーの印象はほとんどないのですが、私服に着替えて目の前に現れた時のオーラはすごいものがありました。

 コービーのすごさはNBA歴代4位の得点力(3万3643点)はもちろんですが、その負けず嫌いな性格からディフェンスでも相手の一番いい選手をマークすることでした。試合になれば相手チームは一番守備のいい選手につかれ、時には2人、3人がかりでマークされます。それをはねのけて得点を重ねるだけでもすごいことですが、その上で相手のエースをマークする。当然負担が大きくなるため、最近のNBAでは得点力のある選手は“守備はそこそこに”というケースも少なくありません。

 それを全力でやるのは、ジョーダンもそうしていたから。ジョーダンはブルズを6回NBA王者に導き、コービーもレイカーズを5回NBA王者にしています。その結果だけでなく、攻守のすべてにおいて全力でやっていたのが偉大さのゆえんでしょう。

 そのプレーを支えていたのは、NBAの選手たちが口を揃える「一番長く練習する」ことでしょう。試合の日に新人選手が早めに体育館に着き「俺が一番乗りだ」と思っていたら、すでに汗をダラダラかいたコービーがいたそうです。試合前の練習でも、試合と同じぐらいのことをすでにやっている。シーズンオフも午前5時にシュート練習に来ることがあったほどだそうで、超人揃いのNBA選手ですら驚くハードワークぶりがスーパープレーの源だったのでしょう。

 影響を受けた選手も多いです。26日の試合ではホークスのトレイ・ヤング(21)と対戦相手サンズのデビン・ブッカー(23)がともに24本のシュートを打ちましたが、これはコービーの背番号「24」を意識してのことだったと思います。得点はヤングが45点、ブッカーが36点で合計81点。これは1試合でコービーが挙げた生涯最高得点と同じでした。さすがにこれは偶然だとは思いますが、尊敬の念がこの結果を導いたのかもしれません。

 謹んでご冥福をお祈りします。