ダブルチームで封じられた八村 次戦チェコ戦の課題

2019年09月02日 20時00分

八村(右)はトルコから厳しいマークを受けた(ロイター)

【中国・上海1日発】世界の壁は厚かった――。バスケットボール男子のW杯1次リーグE組で世界ランキング48位の日本は同17位のトルコに67―86で敗れて黒星発進となった。2006年大会以来となる世界の舞台に、話題のエース八村塁(21=NBAウィザーズ)を擁して臨んだが、いきなり厳しい現実が待っていた。この敗因と次のチェコ戦(3日)では何をすべきなのか? 本紙バスケット解説を務めるBリーグ京都ハンナリーズの「KJ」こと松井啓十郎(33)が徹底分析した。

 試合序盤で日本は、シュートを打てずに相手にボールを奪われるターンオーバーなどのミスを連発。第1クオーター(Q)で12―28と離された。前半終了時に35―47の12点差に追い上げたものの、後半は実力差を見せつけられた。

 完敗の原因は明確だ。エースの八村が徹底マークされたことに尽きる。第2Qはスチールからのダンクで見せ場をつくったが、この日は2点シュートを10本打って成功は3回。2度打った3点シュートはいずれもゴールを外れた。八村が「僕のやりにくいディフェンスをしてきた」と振り返るように、トルコは2人がかりで守る「ダブルチーム」でエースを抑えた。

 松井は「その対策ができなかったために、シュートセレクトも悪くなっていった」。チームとしての対応ができなかったことで、八村も無理な体勢からのシュートが増え、確率が落ちる悪循環に陥ったという。「困った時の八村頼み」を封じられて完敗したことで、当然、次戦の相手チェコも同様の対策を取ってくることが予想される。

 1次リーグ最終戦(5日)には世界最強の米国戦が控えるだけに、チェコには何とか一矢報いたいところ。そのためには「ダブルチームをさせない“スペース”をつくるようにすることです」(松井)。

 これには八村のポジション取りが重要になる。「ローポスト(ゴールやエンドラインに近い位置)でプレーしようとすると、相手はダブルチームに来やすいし、シュートが打てなくてパスしようとしてもコースが狭くなってしまうんです」。これに対してフリースローライン側の「ハイポスト」でプレーするようにすれば、自分で攻めるにしてもパスするにしても、より多くの方向に展開できて攻撃の幅が広がる。八村がこの位置でプレーできるように、他の4人も動くことが必要だという。

 この日はリバウンド数で26―44と圧倒され、オフェンスリバウンドも13本取られた。ターンオーバーも13回を記録。だが、松井によれば「それらは個人個人の意識をしっかりすれば改善できるものです」。

 一方、残り1秒で簡単に得点を許したシーンには猛省を促す。この場面、残り6秒でファジーカス・ニック(34=川崎)が3点シュートを外して17点差。勝敗は決しているので普通はプレーをやめて時間を流す。そう思い込んで足が止まった日本を尻目に、トルコは猛然とゴールへ。このプレーについて松井は「2次リーグ(各組4チーム中、上位2チームが進出)に進めるかが得失点差で決まる可能性もあるので、トルコはそれを意識していたんです。あんなに簡単にレイアップされないようベンチからも声出しして、最後まで集中しないといけません」と指摘した。

 文字通り、最後の1秒まで気を抜いてはいけない。来年の東京五輪へ向けても、世界レベルでは一瞬のスキが命取りになるということだ。