【バスケット】松井啓十郎が解説するスーパースター候補・八村塁の凄さ

2019年08月13日 16時30分

ディフェンスでも安定感抜群。八村は攻守で大活躍した

 大絶賛だ。バスケットボール男子の強化試合(12日、千葉ポートアリーナ)で、日本はニュージーランドに99―89で勝利。31日開幕のW杯(中国)へ向け、5戦行う国際試合の強化マッチ初陣で上々のスタートを切った。NBAウィザーズ入り後初の代表戦となった八村塁(21)は、チームトップの35得点を挙げてスーパースター候補の面目躍如。八村のどこがすごかったのか、本紙バスケット解説の「KJ」こと松井啓十郎(33=京都ハンナリーズ)が徹底分析した。

 NBA選手としては初の日本代表でのプレー。八村はまず先制ゴールを決めると、その後も速攻などで第1クオーター(Q)から10得点を挙げた。トータル35得点のうち、2点シュートでの得点が22点で、成功率は73%を記録。この数字を松井は「ミドルレンジの安定性がズバ抜けていた」と絶賛する。

「ミドルレンジ」とは3点シュートよりも少し内側ぐらいの距離のこと。「あれだけ入れられると、相手の選手も(八村に)近づいてシュートをチェックしなければなりません。でも、それをやると(抜かれてインサイドに)ドライブされてしまうことにもなる」

 これまでの日本では、仮にこのプレーでゴール近くまで行けたとしても体をぶつけられたり、シュートをブロックされたりで得点することは難しかった。また、格上のチーム相手だとシュートを打つことすら難しかった。それが八村なら「相手にぶつかっても点が取れるフィジカルの強さがある」(松井)。どんな相手でも自分の得意な距離からシュートを打ち、成功させるのが八村の「すごさ」というわけだ。

 6月のNBAドラフトで日本人初の1巡目指名を受けて一躍「時の人」となった。その実力を満天下に示した格好だが、松井も「実際どれぐらいすごいの?と思ってた人もいたでしょうけど、その中で35得点のインパクト。期待を裏切らないどころか、期待以上のプレーを1戦目から見せてくれたことで、初めて見た人にも『やっぱり、すごい』と思ってもらえたと思います」とべた褒めだ。

 実際、ここまで準備万端というわけではなかった。NBAのサマーリーグは7月13日に終わり、代表に合流したのは同31日からで、チームとして練習したのは10日ほど。その合間にはスポンサー関連の行事もあった。さらには「NBAのボールは少し小さいんです」(松井)。代表など国際ルールで使うボールと比べてサイズが若干小さいため、フィーリングの違いが多少なりともシュートタッチに影響を及ぼしたはずだ。

 そうした状況を考えれば、故障しない程度の無難なプレーで、10~15得点ぐらいで終わってもおかしくはない。それでも決して評価を下げることはなかっただろうが、エンジン全開ともいえる圧巻のパフォーマンスには「素晴らしいのひと言です」(松井)。

 チームとしても第4Qの残り4分58秒で15点差となった時点で、フリオ・ラマス監督(55)は八村をベンチに下げた。普通ならそのまま休ませる状況だが、直後に点差を詰められると、すぐさま八村を再投入。きっちり10点差をつけて試合を締めくくった。この場面について松井は「どんな試合でも勝ちにいくという監督の気持ちの表れ。『勝ちグセ』をつけるということだと思います。いくら八村が35得点でも、負けたらW杯に向けて不安を残してしまいますから」とみる。

 八村の活躍で日本はまさに上々のスタート。W杯までの4試合の強化試合でさらなる“勝ちグセ”をつけてのチューンアップが期待される。