【バスケW杯31日開幕】ここがスゴイ!新生ジャパン 元日本代表「KJ」こと松井啓十郎が分析

2019年08月10日 11時00分

八村の持ち味は豪快なダンクシュートだけではないという

 日本のバスケットボールがかつてない盛り上がりを見せている。八村塁(21=ウィザーズ)は日本人として初めて米プロNBAのドラフトで1巡目指名され、渡辺雄太(24)はグリズリーズで2年目のシーズンに期待がかかる。このNBAコンビを中心にした男子日本代表は31日開幕のW杯(中国)を控えるが、注目のポイントはどこにあるのか。本紙でNBA&バスケ解説をスタートさせる元日本代表でBリーグ・京都ハンナリーズの「KJ」こと松井啓十郎(33)が、見どころを大いに語ってくれた。

【当たり負けしない「強じんな壁」八村】チームで最大の注目はやはり八村だ。その魅力について松井は「これまでの弱点が逆にアドバンテージになる」という。

 予想されるポジションは、インサイドと外角の両方をこなすパワーフォワード(PF)か、外からのプレーが多くなるスモールフォワード(SF)だが「今までの日本は外国の選手に体格とパワーで負けて、ここから崩されることが多かったんです。それが八村選手なら逆にやっつけられる」。203センチ、102キロの体格と運動能力、さらにNBAドラフトで1巡目指名された自信も加わったことによるパワフルさは、強豪国の選手にも引けを取らない。

 バスケット経験のある人は「基本的に身体的接触がない」と教えられたかもしれない。だが、NBAを頂点とした現代のバスケットでは多少の押し合いは当たり前。これまでの日本だと、競り合いで相手に反則気味で倒されても「世界ランキング48位の選手はやっぱり“ひ弱”との先入観を審判に持たれ、笛を吹いてもらえないケースも多かったんです」。

 それが八村なら心配ない。バスケットの攻撃は「ピック&ロール」(スクリーンプレー)といって、選手が壁(スクリーン)を作って相手の行く手を阻み、守備の陣形を崩してシュートチャンスを作る手法を多用する。このプレーでも、相手との体格&パワーの差に圧倒されて「壁」がしっかり作れず、さらに吹っ飛ばされても笛を吹いてもらえない…という悩みが、解消されるというわけだ。豪快なダンクも魅力だが、こうしたプレーでの貢献にも注目すると八村の“すごみ”がよりわかる。

【守備から相手を崩す渡辺雄】グリズリーズでのプレーは2年目となり、先月のサマーリーグでは成長の証しを見せた渡辺雄については「ディフェンスの運動能力の高さ」が最大の武器だという。

 見どころは長いリーチを生かしたブロックショット。「選手心理として、シュートが外れるのはある程度仕方ないですけど、ブロックされるのは屈辱。それに一度やられると『さっきの間合いでは打てない』『もっと早く打たないと』となってリズムが崩れるんです」。この守備を相手のシューティングガード(SG)、あるいはSFの「点取り屋」に対して行うのが渡辺雄の役割と見る。

 これらのポジションは基本的に5人の中で身長が2番目と3番目に低い選手が務めるが、海外では2メートル超も珍しくない。206センチの渡辺雄はサイズ負けすることなく対抗できる。仮に平均25得点の選手を15点に抑えると、相手チームの総得点も10点減ることになる。エースが思うようにシュートを打てない、決められないとなれば、それを補うために周りの選手の負担は増し、攻撃のリズムも微妙に崩れていく。

 右足首を捻挫しており、12日からのニュージーランドとの強化試合を欠場する可能性はあるが、渡辺雄のブロックショットが強豪国の攻撃をボロボロにさせるきっかけになるかも…。

【富樫の穴は“サイズ”で埋める】日本は司令塔のポイントガード(PG)富樫勇樹(26=千葉)が右手骨折でW杯出場が不可能になり、松井も「シュートが最高級。彼のようなPGは日本にいない」と不在の影響を危惧する。

 フリオ・ラマス監督(55)は190センチの比江島慎(28=宇都宮)や192センチの田中大貴(27=A東京)のPG起用を示唆しており、これにより「サイズアップして、守備からリズムをつくることもできる」(松井)メリットもあるという。富樫は167センチ。PGで190センチも珍しくない海外との対戦ではサイズのミスマッチ(体格差)を突かれていたのがなくなるというわけだ。

 とはいえスピードとシュート力は日本の宝といえるだけに、来年の東京五輪には富樫の復活が望まれている。

【“神様”との1対1でシュート決めた伝説持つ松井】松井を有名にしたのは小学6年時のイベントで、NBAスーパースターの“神様”マイケル・ジョーダン(米国)と1対1を行い、シュートを決めたことだった。持ち味は「今でも日本でトップ5に入る自信はある」シュート力だ。

 各チームのエース級が揃う代表では、慣れない試合途中からの出場に戸惑う選手もいる。だが松井は「普段スタメンだといつ出番が来るかわからず、コートに立ったらすぐに結果を求められるプレーに慣れていないですけど、僕にはそれができます」と、試合の要所で流れを変えることに自信を見せる。

 代表入りは常に目標。そのためにもBリーグの新シーズン(京都は10月5日の滋賀戦で開幕)では「自分のパフォーマンスが出せれば呼ばれるもの」と復帰を虎視眈々と狙っている。

☆まつい・けいじゅうろう 1985年10月16日生まれ。東京都出身。父親の勧めで小学1年からバスケットボールを始める。高校(モントローズ・クリスチャン高)から米国に渡り、名門コロンビア大では日本人男子初のNCAA1部でプレーした選手に。大学卒業後は帰国しA東京、三河などでプレー。今季から京都に加入した。ニックネームの「KJ」は、米国で「けいじゅうろう」が覚えられにくかったため使い始めた。188センチ、83キロ。