NBAウィザーズ・八村塁“1000億円の男”東京五輪のヒーロー候補が異次元突入

2019年06月22日 16時30分

NBAのアダム・シルバー・コミッショナーと握手した八村(ロイター=USA-TODAY-Sports)

 空前の大フィーバーの幕開けだ。米プロバスケットボールNBAのドラフト会議が20日(日本時間21日)にニューヨークで行われ、ゴンザガ大の八村塁(21)がワシントン・ウィザーズから日本人初となる1巡目指名(全体9位)を受けた。日本バスケ界の未来を担う203センチ、104キロの逸材の快挙に日本中が沸いているが、今後プレーはもちろんコート外でも注目が高まる。天文学的な巨額マネーが飛び交う世界で、将来的には異次元の“1000億円の男”となりそうだ。

 1回のドラフトで1巡目指名はわずか30人。米大学バスケ界の名門ゴンザガ大でエースとして活躍した八村は全体9位で指名され「初めて(バスケを)やった時にコーチに『おまえはNBAに行くんだ』と言われてそれを信じてやってきて、ここにいる。信じられない。本当に夢みたい」と喜んだ。もちろん、浮かれた様子はなく「これからはチームにインパクトを与えるつもりでやる。チームにどれだけ貢献できるかを考えているので、個人成績は考えていない」と意気込みを語った。

 チームは2018―19年シーズンでプレーオフ進出を逃しており、八村はその起爆剤としてルーキーシーズンから世界最高レベルのプレーを期待される。1巡目指名なら最低でも2年契約が保証され、指名順に応じて設定される年俸は1年目から4億5000万円を超える見込みだ。

 さらに、コートの外での注目度も急騰必至だ。大手広告代理店関係者は「バスケットボールは競技人口が世界一多く、ファンもそれだけ多いので市場規模は非常に大きい。今まで日本での人気は野球やサッカーの陰に隠れていたが、競技人口やファンはもともと多く、Bリーグも盛り上がってきている。東京五輪の出場も追い風になってバスケ界は注目の市場。八村選手の“価値”はとてつもなく大きなポテンシャルがある」と分析する。

 バスケは世界の競技人口が4億5000万人と1位で、サッカーの2億6000万人の倍近い。そうした裾野の広さを背景にNBAは近年積極的に世界へ進出し、人気が沸騰している。

 数字もそれを裏付ける。ウォルト・ディズニー、タイムワーナーの2社との間で結んだ独占放送契約は、16―17年シーズンからの9年間で総額240億ドル(約2兆5800億円)と桁違いだ。日本でも17年10月に楽天とNBAが5年総額2億2500万ドル(約242億円)でパートナーシップ契約を結んだのは記憶に新しい。平均年俸もプロスポーツリーグの中でダントツの7億円。サッカー界で最も高いイングランド・プレミアリーグの倍だ。

 この“黄金リーグ”で八村が栄光の1巡目指名を受けたインパクトは計り知れない。「スポンサー契約をすれば商品の注目度は上昇が見込めるし、特に海外を意識する企業にはうってつけの存在。東京五輪のヒーロー候補でもあり、今後大手のクライアントが次々と手を挙げる。日本でのバスケの普及にもひと役買うだろう。“日本版・姚明”のような存在になるのではないか」と同関係者。

 02年に全体1位でヒューストン・ロケッツへ入団した姚明(ヤオ・ミン)氏(38=中国)はトップ選手として活躍し、アジアを中心に大フィーバーを巻き起こした。現役時代には数十億円規模のスポンサー契約を複数結んでいたようにその広告価値は絶大で、現役中には中国をはじめ世界で数千億円規模の経済効果をもたらしたと言われている。

 ベナン人の父と日本人の母の間に生まれた八村は、女子テニスの大坂なおみ(21=日清食品)や陸上短距離のサニブラウン・ハキーム(20=フロリダ大)らに続き、ハーフアスリートとして人気者になりそうな気配。さらには日本人初のドラフト指名入団となる“開拓者”として大きな期待が寄せられており、姚氏の例を考慮すると今後の活躍次第で経済波及効果が数百億~1000億円程度に達する可能性もありそうだ。

 日本スポーツ界にとってはまさに「異次元の世界」に突入する八村のアメリカンドリームは始まったばかりだ。