男子バスケットボール21年ぶり「W杯出場」の価値

2019年02月26日 11時00分

【カタール・ドーハ24日(日本時間25日)発】バスケットボール男子のW杯アジア2次予選最終戦で、F組の日本は6位のカタールに96―48で大勝して8勝4敗で同組2位を確定させ、自国開催だった2006年大会以来の出場を決めた。予選を突破しての出場は21年ぶり。グリズリーズで米プロNBAデビューした渡辺雄太(24)と米ゴンザガ大のエース八村塁(21)が参戦していない中、Bリーグ勢だけで勝ち取った意味は大きく、来年の東京五輪の開催国枠での出場に向けて絶好のアピールとなった。

 最後にカタールのシュートのリバウンドを日本が抑えて試合終了の笛が鳴ると、殊勲の選手たちは思い思いに喜びを爆発させた。コート上で輪になって歓喜のジャンプ。誇らしげに胸を張って記念写真に納まった選手たちをアルゼンチン人のフリオ・ラマス監督(54)も拍手でたたえた。

 21日に強豪イランを敵地・テヘランで撃破して臨んだ一戦のスターティングファイブは、比江島慎(28=栃木)、ニック・ファジーカス(33=川崎)、富樫勇樹(25=千葉)、田中大貴(27)、竹内譲次(34=ともにA東京)。第1クオーター(Q)はファジーカスの得点で幕を開けた。その後も順調にリードを広げ、第2Q終了時点で42―25。第3Q以降は選手を入れ替えながらも得点を重ね、ファジーカスが最多の20得点を挙げるなど危なげない試合運びだった。富樫は「2位で通過したことはすごく自信になる。試合を重ねるごとに選手、チームとして成長していった」。比江島も「この瞬間を迎えられて幸せ」と勝利の味をかみ締めた。

 ここまで苦難の道のりだった。日本男子バスケは国内で2リーグが並立し、国際バスケットボール連盟(FIBA)からリーグの統一とガバナンスの改革を求められた。それでも遅々として進まない改革に、FIBAは14年11月に国際大会参加の禁止を通達。そこからサッカーJリーグの初代チェアマンの川淵三郎氏(82)を中心に協会を改革し、15年8月に制裁が解除されるとBリーグの開幕でリーグ統一も実現した。

 その後は選手のレベルアップも進んだが、代表レベルでの実績が乏しいこともあって、五輪の開催国枠を付与していないFIBAは日本の東京五輪開催国枠での出場向けて「W杯16強相当」の実力を示すことを求めた。そのためには今夏のW杯(8月31日~9月15日、中国)の出場が最低限の目標となった。12年ロンドン五輪でアルゼンチンを4強に導いたラマス監督を招聘。だが17年11月から始まった予選ではいきなり4連敗を喫し、W杯出場に黄信号がともっていた。

 それでも昨年4月に日本国籍を取得したファジーカスの招集と、八村が参戦した同6月の試合で世界ランキング10位のオーストラリアを撃破。これで流れを変えるとBリーグ勢も実力を発揮し始め、厳しい戦いも勝ち抜くことができた。

 日本バスケ界を変えた川淵氏は試合後に自身のツイッターを更新。「ワールドカップ出場おめでとう サッカーの仇をとってくれて有難う! 8連勝とは~ドーハの歓喜だね!」(原文ママ)などと記し、1~2月に行われたサッカーのアジアカップ決勝で日本がカタールに敗れて準優勝に終わったことと「ドーハの悲劇」として知られる1993年のW杯アジア最終予選を引き合いに出して喜んだ。

 FIBAは3月の理事会で20年東京五輪の開催国枠付与について審議予定だが、今回の快進撃が大きなアピールとなるのは間違いない。しかも今予選終盤は渡辺、八村の「二枚看板」不在。2人が加わることが確実なW杯ではFIBAの指針の16強以上の結果も期待できる。夜明けを迎えた日本バスケ界に明るい光が差してきた。