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元横浜大洋投手・大門和彦さん「生保業界に飛び込んで22年 大事なのは人の縁」


生保業界で成功を収めた大門さん

【異業種で輝く元プロ野球選手】「この仕事を始めて今年で22年。野球を辞めた当初は人に頼らず自分の力だけでやっていこうと思いました。でも、今振り返ると、いろいろな人に支えられてここまで来た。やっぱり人の縁って大事ですよ」

 

 自身が保有する琵琶湖西岸にある滋賀県高島市の野球グラウンドで話を聞くと、大門和彦さん(52)は開口一番、周囲への感謝を語り始めた。

 

「世の中の仕組みを何も知らないまま、30歳で今の世界に飛び込んだ。それからは人生、山あり谷ありでしたからね」

 

 1983年のドラフト4位で横浜大洋(現DeNA)に入団。94年に引退するまで主に先発として活躍した。そんな右腕が第2の人生で突き進んだ道は生存競争の激しい「生保業界」だった。

 

「人に会っていろいろなことが学べる業種はどこかと考えたらやはり保険がいいと。私より1年先に保険業界に入っていた先輩の市川さん(和正氏=元横浜大洋)の紹介もあったので、京都のソニー生命保険に入社。保険の営業マンになったのです」

 

 船出は順調だった。現役時代に培った粘りと努力で次々と顧客を獲得。販売実績を上げ続ける元プロ野球選手の名はすぐに業界内に広まった。

 

 ところが2年目になると試練が訪れる。「顧客の枯渇」だった。

 

 生命保険は一度加入すると基本的に更新がない。新規顧客を探し続けるのは困難を極める。もっとも、そんな状況下でも営業成績のいい販売員は嗅覚を駆使しながら日々、顧客獲得を進める。野球界しか知らない大門さんにそのノウハウはなかった。

 

「このままではいけない」

 

 すがる思いで頼った先が当時、職場で営業成績がトップだったセールスマンだった。自ら頭を下げ、営業方法を教えてもらえるよう直訴。元プロ野球選手というプライドなどない。この世界で生きていくための苦肉の策だった。

 

「営業成績のいい人は必ずどんな時でも何らかの売る方法を持っています。だからこそ、それを知りたいと思い、その人を京都の大原山荘に誘い、2泊3日の営業合宿をお願いしたのです。もちろん、その費用は交通費、宿泊費、食事代を含めすべて自腹。金銭的にはきつかったですけどその分、朝から晩まで生保の営業を徹底的に叩き込んでもらいました。そこで得た情報やセールス方法は今でも活用しています。あの時、営業のイロハを教えてもらえなかったら、今の自分はなかった。本当に感謝しています」

 

 営業技術の習得と同時に、自らの仕事に対する姿勢も律した。

 

 一般的な大卒社員(22歳で入社)に比べ、30歳で生保業界デビューした大門さんには業界経験で「8年」のブランクがあった。その差を埋めるには、人一倍働かなければ追いつかない。1日の労働時間は8時間が基本だが、大門さんはあえてその倍の1日16時間を仕事に費やした。睡眠時間は1日平均3~4時間。体が悲鳴を上げそうな時期もあったが、「この業界で絶対に成功したい」。その一心で心を奮い立たせた。その結果、入社から7年半後の2002年夏にソニー生命から独立し、生命保険代理店「アイディーリンク」を設立。以後、順調に事業を拡大し、今では京都を拠点に保険業や接骨院、障害者就労支援事業を含めた3社の代表を務める実業家として名をはせる。

 

 10年からは自らの私財と仲間の支援により「京都ブラックス野球協会」を発足。文武両道を心がけながら中学生への野球指導にも力を注ぐ。チームはここ数年で急成長。全国大会出場レベルにまで躍進している。

 

「もともと子供たちへの指導は中学で野球に挫折しかけた息子のために始めたのですが、その規模が少しずつ大きくなった感じです。ここで育った選手が一人でも多く高校で活躍してくれればいいですね。同時に、もう私もいい年なので、今後は事業や野球チームを後継者に引き継いでもらえるよう動きだしたい。会社もチームも一人でずっと引っ張っていくのは難しいことですから」

 

 横浜大洋時代、高木豊、加藤博一、屋鋪要の「スーパーカートリオ」や遠藤一彦、斉藤明夫らスター選手に隠れた「いぶし銀」も今や昔のこと。自ら切り開いた新たな舞台で輝きを放っている。

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