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弱小高校野球部に甲子園経験監督 千葉・浦安南の野球版スクール☆ウォーズ


今春、監督に就任した白鳥監督

【気になるアノ人を追跡調査!野球探偵の備忘録(43)】「ルールを知らない野球部員」という動画をご存じだろうか。すでにユーチューブで460万回以上も再生されているその動画は、千葉・浦安南高校野球部の助っ人選手が、ルールを知らなかったためにゲームセット。「最後の夏」が終了となってしまう悲しい内容で、多くの高校野球ファンの関心を呼んでいる。そんな浦安南に今春、甲子園出場経験のある監督が就任し、大変身を遂げているという。「平成版スクール☆ウォーズ」ともいうべき浦安南高校野球部の今を緊急取材した。

 

 話題となった動画は、2003年夏の高校野球千葉大会。この大会に浦安南は選手が足りずに助っ人選手を依頼して出場するも、京葉工相手に0―22で5回コールド負けを喫した。

 

 その最終回、助っ人選手がセンター前に見事なヒットを放ち、次打者への暴投の際に二塁へと進むのだが…。ルールを知らずにそのまま二塁ベースを駆け抜けてしまったため、あえなくタッチされてゲームセット。当時から一部では話題となっていた動画だが、その後にプロ野球選手らもツイッターなどでこの動画について触れたため、注目を集めることになった。

 

 一方、浦安南はその後も慢性的な部員不足に悩まされ、2年前の夏の大会で22年ぶりとなる勝利をマークしてニュースとなるも、部員は9人を割り続け、今春の春季大会も組み合わせが決まっていながら人数が揃わずに不戦敗。過去には夏の大会の開会式で入場行進の際、テレビカメラに向かって手を振りながら行進したことが高野連から問題視されたこともあった。今春、同校野球部監督に就任した白鳥了監督は「入場行進の事件のときは高野連に苦情が入ったそうですね。今も入場行進の練習は欠かさずやるようにしています」と苦笑しながらも、新チームの現状には「手応えを感じている」そうだ。

 

 白鳥監督は過去に全国制覇を2度成し遂げた千葉の名門・習志野で2001年夏に甲子園出場。2回戦の高知・明徳義塾戦では決勝の2ラン本塁打を放った。大学卒業後、教員となり、前任の市川南から人事異動で浦安南に赴任したのは昨年4月のこと。まずは1年間、野球部長の立場で部員たちと接することになったのだが、赴任当初は「校舎内の廊下をバイクが走っているなんて噂もあった」と気が気ではなかったという。

 

 それでも「実際に赴任してみると、そんなことはなかった。生徒はちゃんと座って授業を受けていたし、若くてモチベーションの高い先生たちがたくさんいて、熱心に生徒指導をしていた。変な先入観はすぐになくなりました」。

 

 だが、野球部員は「練習でも制服のままキャッチボールをしたり、髪の毛が長かったり…」という状態。そもそも練習に出てこない部員もいた。そこで今年4月に監督に就任すると、まずは「ひとつのことを徹底できる力を身につけよう」から始めた白鳥監督は「あいさつ」「全力疾走」「バックアップ」をちゃんとできるようにすることを目標に掲げた。また、今年4月には岩手・一関一で東北大会優勝経験のある鈴木浩部長が赴任。指導体制が強化されたこともあり「今ではようやく他校に練習試合を申し込める状態になったと思います」(白鳥監督)。

 

 その練習試合では相手校に驚かれることが多いという。最近では昨秋の県大会にも出場した強豪私学との試合に4―0、13―8で連勝。別の高校との試合では0―11から一挙8点を返し、相手の監督から「これがあの浦安南ですか?」と言われたそうだ。白鳥監督によると「今のチームは打ち出すと止まらない。乗れるきっかけさえつかめれば、ですけどね。3、4点取られても、5、6点取ればいいんです」とのことで、練習も打撃練習が中心だという。

 

 とはいえ最終的に目指す野球は、やはり母校の習志野野球だ。

 

「私が高校に入ってすぐの監督だった西郡監督はベンチでいろいろなことをつぶやく方で、配球のこと、感性の磨き方など、たくさんのことを教わりました。ゆくゆくは頭を使った野球を目指していきたいと思います」。母校との練習試合には「とんでもないことです」と謙遜しながらも、さらなるステップアップをもくろんでいる。

 

 現チームは2年生が5人、1年生が6人で、3年生はマネジャーの2人だけで選手はゼロ。そんなこともあり、今夏だけでなく来夏への楽しみも広がるが…。白鳥監督は「来年の夏も、というよりは今年の秋ですかね。浦安南が助っ人を頼まないで、野球部だけの単独チームで秋の大会に出るのは、過去になかったことだと思うので」。それでも来年、第100回大会となる夏の甲子園は10年に一度の記念大会。千葉からは甲子園に2校、出場できることになる。

 

 白鳥監督は先日、マネジャーから「それってチャンスがあるってことですよね」と聞かれ「まあ、そういうことになるな」と答えたという。

 

 あの浦安南が甲子園へ――。そんなことになれば、先輩が二塁ベースを駆け抜けたあの動画もまた、さらに注目を集めることに違いない。

 

【「スクール☆ウォーズ」とは】1984年にTBS系列で放送。無名の弱小高校ラグビー部が、山下真司演じる熱血教師が顧問に赴任してからわずか7年で全国制覇を果たすまでを描いた学園ドラマ。オープニングでは校舎の廊下をバイクが走るシーンが流れ「この物語はある学園の荒廃に闘いを挑んだひとりの教師の記録である…」とのナレーションで知られる。サブタイトルは「泣き虫先生の7年戦争」。

 

【プロフィル】しらとり・りょう 1983年8月28日生まれ。33歳。千葉県出身。習志野四中―習志野―国際武道大。ポジションは捕手。2001年夏に甲子園出場。大学卒業後、教員として習志野市立秋津小学校に赴任。その間、ボランティアで母校の習志野のコーチ、寮監などを務めるも、唐川侑己(成田―ロッテ)、丸佳浩(千葉経大付―広島)らに甲子園出場を阻まれる。その後、千葉県立市川南高校で5年間野球部監督を務め、昨年4月に千葉県立浦安南高校に異動し、野球部長に。今年4月から監督に就任した。

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