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【センバツ当確】伊調の母校・至学館“J―POP調校歌”誕生秘話


アテネ五輪女子レスリング凱旋パレード時の写真を持つ谷岡学長

 今秋の高校野球・東海大会で準優勝を果たし、来春センバツ出場がほぼ確実となった至学館高校(愛知)。甲子園初出場となった2011年夏には、歌詞に校名の入らない“J―POP調”の校歌が大きな話題を呼んだ。レスリングのアテネ五輪メダリスト・伊調姉妹、吉田沙保里らの友情物語をモデルに作られた異色の学園歌「夢追人」の誕生秘話と歌にまつわる悲劇のエピソードを、監修を務めた至学館大学・谷岡郁子学長が語った。

「もともと校歌にするつもりはまったくなくて、メダルを取ったあの子たちを祝福するために作られた歌。高校が共学化する際に、それまでの良妻賢母を歌詞の基調とする校歌でなく、よりふさわしいものをと採用されたんです」

 直接のモデルとなったのは、至学館大(当時は中京女子大)の学生でアテネ五輪で銀メダルに終わった伊調千春。失意のなかにあった千春が、けがで夢をあきらめた親友に励まされ、立ち直っていく感動実話を基に作られた。妹の伊調馨、吉田沙保里にも励まし合う仲間がおり、三者三様の友情物語がテーマとなっている。

「歌い出しは『一番高い所に登って 一番光る星を掴んだ』と頂点を目指し努力する姿が描かれてるんですが、本当に聴いてほしいのは2番のほう。最後のフレーズは『一番星よりも夏の星座が好き 君がいれば夜を越えて銀河になれる』。一番になることより、仲間の大切さを表しているんです」

 2005年、共学化に伴い校名を中京女子大学付属高校から、至学館高校に改め創設された野球部は、わずか6年で聖地への切符を手にする。11年夏、愛知大会決勝で愛工大名電を撃破し、甲子園出場を決めた部員が涙ながらに熱唱した「夢追人」は、校名の入らない斬新な歌詞とさわやかな旋律から、大きな反響を呼んだ。

「すごかったですよ。中には校歌らしくない、ふざけてるのかといった批判的な声もあったけど、ほとんどが好意的な感想。学校のホームページがサーバー落ちしたほどですから」

 そこまでの反響を集めた裏には、悲しいエピソードもある。甲子園行きを決めた愛知大会5か月前の11年2月、卒業を間近に控えた前年のエースが交通事故で他界。亡くなった先輩を甲子園に連れていく、当時のナインの思いと歌詞が不思議と符合した。

「歌ができた当初は全然そういうことを想定していたわけではないのに、何でこんなにぴったりなんだろうと。亡くなった子は大学に進んで教師になる夢をかなえるはずだったのに、入学も卒業もさせてあげられなかった」

 昨年3月、至学館大学の卒業式では谷岡学長自ら、生きていればこの日、卒業式を迎えるはずだった生徒への思いを込めた式辞を読み上げた。そして今春、甲子園に出場した当時の主将・岡大樹が至学館大を卒業。同時に至学館高校野球部にコーチとして赴任した。

「(岡の)卒業の日『先輩を連れてってあげたんだから、今度は後輩も連れていってあげてよ』と言ったんです。それがこんなに早く実現するかもなんて。今度こそ、甲子園で『夢追人』を響かせてほしいですね」

 感動と悲劇、2つの物語を内包した学園歌「夢追人」。11年夏は1回戦で東大阪大柏原に1―8で敗れたため、甲子園で勝って校歌を歌うことはできなかったが…。来春、至学館は聖地でその音色を奏でられるか。

☆たにおか・くにこ=1954年5月1日生まれ、大阪府大阪市出身。オンタリオ州立トロント大学卒。神戸芸術工科大学院博士号。86年、中京女子大学(現在の至学館大学)の学長に就任。2007年、愛知選挙区から出馬し初当選すると13年まで参議院議員、政党「みどりの風」代表を歴任。現在は至学館大学学長として同校の執務にあたる。主な著書に「子育ては究極のレクリエーション」(徳間書店、91年刊行)がある。

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