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広島Vパレードに大下剛史氏が熱き思い


優勝パレードには31万人が詰めかけた

 25年ぶりにリーグ制覇した広島が5日、2度目となる優勝パレードを行った。実行委員会によるとファンや市民ら約31万3000人が集まり、沿道は笑顔に包まれた。前回のパレードが行われたのは球団創設26年目で初Vを達成した1975年。その当時、主力選手の一人としてパレードカーに乗った本紙専属評論家の大下剛史氏が、熱い思いを語った。

 

【大下剛史 熱血球論】41年前のパレードに選手として参加した身からすれば「時代も変わったものだ」というのが、率直な感想だ。もちろん、どちらがいい悪いではなく、前回とはまったく違う印象を受けた。

 

 1975年はとにかくバタバタだった。10月15日の後楽園球場での巨人戦に勝って球団創設26年目で初となるリーグ制覇を達成したが、パレードが行われたのはわずか5日後のこと。広島県警も交えて約1か月前から準備は進められていたそうだが、優勝直前まで中日や阪神の猛追を受けていた。古葉竹識監督をはじめ、選手たちも「これで負けたら広島におられんぞ」と身を引き締めていたのを思い出す。

 

 75年のパレードにはいろいろな思いが詰まっていた。1945年8月6日に原爆を落とされ、広島市民は「草木も生えない」と言われるほど荒廃した土地を一丸となって復興させた。その心の支えであったカープも経営は順風満帆とはいかず、「たる募金」でしのいだ時期もあった。

 

 そんな苦しい経験を乗り越えての優勝だっただけに、パレードに詰め掛けたファンの熱気もすごかった。正座したまま遺影を抱き、何度も頭を下げながら「ありがとう」と叫ぶ姿に心を打たれ、選手たちも涙を流した。

 

 パレードから5日後に始まった日本シリーズでは阪急に0勝4敗2分けと完敗だった。今になって思えば、選手たちもあの優勝パレードで得た達成感や充実感、満足感で燃え尽きてしまっていたのかもしれない。

 

 75年時に用意されたパレードカーはトラックの屋根を切った急造のもので、ルートは今回と同じ平和大通りだったが、車両のために空けられたスペースは一車線ほど。人垣も近かった。その点、今回はルート上にずらっと警備員が配され、整然としていた。ファンもロンドン五輪やリオ五輪後に東京・銀座で行われたパレードで“見慣れて”いるのか、大きな混乱もない。そして何より対照的なのは、75年が涙、涙だったのに対して、今回はカープの面々も沿道のファンもみんなが笑顔だったことだ。

 

 広島で生まれ育った人間として、カープの優勝パレードを2度も見られて、うち一度は選手として参加できたことを誇りに思う。ただ、こうしている間にライバル球団は「打倒広島」を旗印に、秋季キャンプで汗を流している。あの笑顔の中で何人の選手が「連覇」に向けて気持ちを新たにしたか。次の戦いはもう始まっている。(本紙専属評論家)

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