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2001年夏制覇の日大三 強力打線誕生の裏にセンバツでの3つのエラー


現在は都築中央ボーイズの監督を務めている

【気になるあの人を追跡調査!野球探偵の備忘録(26)】全国高校野球選手権の地方大会も大詰めを迎え、各地で代表校が甲子園へ名乗りを上げているが、2001年夏、圧倒的な打力で全国の頂点に上りつめたのが日大三(西東京)だった。甲子園大会のチーム打率は当時歴代1位の4割2分7厘を記録。並み居る好投手を徹底的に打ち崩しての初優勝で、21世紀の幕開けを飾った。そんな超攻撃型チームの1番打者として史上2位の大会通算16安打を放ち、その後プロ入りした都築克幸が、強力打線誕生のきっかけとなった「3つのエラー」を述懐した。

 

「全国中継でやっちゃって。『もうこのチームにはいられないな。もう野球は辞めようかな』とさえ思いました」

 

 悲願の全国制覇の5か月前。センバツ3回戦の東福岡戦で、都築は顔面蒼白のまま甲子園のグラウンドに立ち尽くしていた。5回の1イニングで3失策。この回だけで5点を失い、3―8で甲子園を後にする。

 

 敗戦の翌朝、宿舎の監督室に呼び出された。身構える都築に小倉監督がかけた言葉は、まったく予期せぬものだったという。

 

「『お前のせいじゃない。お前が打たなければ夏は勝てない』って。どう考えても負けたのは自分の責任なのに、それまでの監督からは考えられない言葉でした。ただ、本当の地獄はそこからでしたけど(笑い)」

 

 練習では集中的なノックの嵐。捕球しそこなうと「またお前のせいで負けるのか!」とゲキが飛んだ。ただ、厳しさのなかにも小倉監督なりの親心があったという。

 

「直接は聞かなかったけど、OBのなかには『都築はもう使うな』という声もあったみたいで。そういうOBが見学に来ると、微妙に言い回しが違った。『お前じゃなきゃうちは勝てねえんだ!』という感じで。なにくそとは思いましたが、辞めるわけにはいかなくなりました」

 

 夏の西東京大会、大きく成長した都築は17打数12安打と打ちに打ちまくり、加えて守備では無失策。1番打者が打線に火をつけ、全6試合中5試合をコールドで勝ち進み、代表の座をつかみとった。

 

「そのときはとにかく楽しくてしょうがなかったですね。どんな球が来ても、打てる気しかしなかった」

 

 破竹の勢いは甲子園でもとどまるところを知らず、そのまま決勝の舞台へと駆け上がる。悲願の初優勝まであと一歩というところで「悪夢の3失策」が頭をよぎったという。

 

「最終回二死で来たセカンドゴロ。その直前のライナーも自分がさばいていて、もう来ない、三振だろと油断していた。焦って手が“パー”のまま送球したのを覚えてます(笑い)」

 

 送球はファーストミットに吸い込まれたものの、歓喜の輪のなかで一人、冷や汗を流した。

 

 秋には同一高校から同一ドラフトで史上最多となる4人がプロの門をくぐった。中日に入団するも、一軍出場がないまま終わったプロでの4年間を「『俺が一番打てるだろ』となめてかかっていた。上には上がいるとわかったいい機会です」と振り返る。

 

 現在は監督として、都筑中央ボーイズを率いる立場。「小倉監督にもウチの選手を獲ってもらおうとしてるんですが、なかなか獲ってくれなくて(笑い)。三高に限らず、うまくなってどこかで甲子園に出て、活躍するような選手に育ってくれれば」。指導では「打たれたら打ち返せ」をモットーに“小倉イズム”を継承している。

 

 日大三4人衆のうち、今もプロで奮闘しているのは近藤一樹(ヤクルト)だけとなったが、優勝メンバーとは折を見て酒を酌み交わす。

 

「夏の話はしますけど、センバツのことは誰も覚えてない。結局、気にしてたのは僕だけだったってことですね(笑い)」

 

 史上まれに見る強力打線で全国の頂点に立った夏から15年。スコアブックに記されたエラーの記録は、安打の記憶で塗りつぶされている。

 

 ☆つづき・かつゆき 1983年8月18日生まれ、東京都出身。小学校1年生のとき品川メッツで野球を始める。中学時代は世田谷シニアで捕手。日大三進学後、1年秋から二塁手でレギュラー。3年春のセンバツでは3回戦敗退も、3年夏は1番打者として史上2位の大会通算16安打を記録し初優勝に貢献。2001年のドラフト7位で中日に入団。日大三からは他に近藤一樹(近鉄7位)、千葉英貴(横浜6位)、内田和也(ヤクルト4位)もそれぞれプロ入りしており、同一高校から同一ドラフトで4人のプロ入りは史上最多タイ。05年オフに戦力外となり、社会人クラブチーム横浜ベイブルースでプレー。07年に引退後、現在は不動産関係の会社に勤める傍ら、少年野球チーム都筑中央ボーイズで監督を務める。175センチ、74キロ。右投げ右打ち。

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