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異なる県立4校で7度甲子園に出場「公立の名将」蒲原弘幸氏の手腕


現在は麗澤大野球部でコーチを務める蒲原弘幸氏

【気になるアノ人を追跡調査!野球探偵の備忘録(22)】「高校野球の名将」。通算勝ち星や甲子園出場回数、プロ野球選手輩出人数など、その技量を測るてんびんは数知れないが、かつて無名の公立校ばかりを次々と甲子園に導いた「公立校の名将」がいた。佐賀商(佐賀)、千葉商、印旛、柏陵(以上千葉)の、異なる県立4校で通算7度の甲子園出場を誇り、1981年センバツでは準優勝を果たした蒲原弘幸氏が、その手腕の秘密を明かした。

「僕がやったんじゃない。生徒が連れて行ってくれたんですよ。すべて選手が頑張った結果です」

 半世紀近い指導者人生を振り返り、蒲原はそう語り始めた。初任地の佐賀商では就任2年目に甲子園出場。その後転任した千葉商でも2年で聖地の土を踏む。

 いずれも県内では古豪と言われる伝統校も、就任2年目の新人監督としては異例の快挙。だが、同時に窮屈さも感じていた。

「とにかくOBの声がものすごくうるさかった。『あんな作戦しやがって』とよく言われました。ダブルスクイズで試合を決めた後でさえ『あそこは打たせたほうが良かった』とかね。伝統校ほど批判されるものですよ」

 嫌気が差した蒲原は自ら転勤願を出し、74年、当時まったくの無名校だった印旛に赴任する。

「あんまり面白くなかったので、今度は誰も知らない学校に行ってやろうと。行ってみればグラウンドがない、バックネットがない。(以前)田んぼだった練習場は雨が降れば1週間練習ができない。たった11人の部員は土曜に練習すれば日曜はまず出てこない…。もうワクワクしましたよ」

 赴任すると、すぐさま野球部の強化に着手。まず行ったのは、意外にも坊主強制の禁止と男女交際の奨励だった。

「坊主にするとね、特権意識を持つんですよ。『俺は野球部だぞ』って。まずはそれをなくしたかった。男女交際だってどんどんやればいい。彼女のためにやろうと、そういう気持ちでなきゃ男はだめ。1人と言わず3人くらいつくれと言ってましたよ(笑い)」

 一見とっぴで破天荒な蒲原の考えは、やる気のなかった弱小校の選手には刺激的に映った。

 蒲原が日課で行っていた早朝6時のランニングには、いつしか部員が並走するようになり、気づけば立派な朝練になっていた。蒲原の熱は保護者にも伝わり、あるとき選手の親から工事現場の作業用発電機が差し入れられた。練習は深夜0時を過ぎるころまで続いた。

 練習が終わると手製のインスタントラーメンを振る舞い、同じ湯船に漬かる。それには生徒との信頼関係を築く目的もあった。成績の悪い生徒の家に家庭教師として押しかけ、問題を起こした生徒に両親の前で手を上げたこともあったという。

「体面のためか、学校はすぐに(問題を起こした)生徒を切りたがる。心を開いて、1対1で話をすれば、必ず生徒は立ち直るんです」

 ひたすら生徒との時間を大事にした。

 その後、部員11人の公立校は、たった3年で千葉を制し、さらに3年後には全国準優勝の強豪にまで生まれ変わった。長時間にわたる厳しい練習に不満を漏らす者は誰もいなかった。

「僕は何かをしろと強制することはあまり好きじゃない。いかに選手をうまく乗せるかじゃないですか。やれやれと言ったって、自分からやりたいとか勝ちたいと思わなきゃ、人から言われてたんじゃダメなんですよ」

 柏陵では就任7年目に夏の甲子園へ。もちろん激戦区と言われる千葉を県立校が勝ち抜くのは、フロックでできることではない。

 異なる4つの県立校での甲子園出場は、蒲原だけの記録。では結局、公立校を甲子園に連れて行くには何が必要なのか。蒲原はしばらく考え込んだ後、こう答えた。

「ただひとつ、共同生活が必要なんだと思う。合宿所や寮のない公立校でも、生徒となるべく長い時間を一緒に過ごし、信頼関係を築く。僕は教育者というよりも、扇動者だったのかもしれない。高校野球の指導者はどこかでカリスマでもなければいけないんです」

 選手を乗せ、保護者を乗せ、ひとつになって目指した甲子園の地。高校野球100年の歴史の、半分近くを過ごした公立校のグラウンドから、聖地は決して遠くはない。

☆かもはら・ひろゆき=1939年4月22日生まれ。77歳。佐賀県出身。東京・田園調布高2年秋の都大会で1試合24奪三振を記録。早大では3年から学生コーチ、学生監督。社会人野球の河合楽器入社後、64年に教員(社会科・倫理)として佐賀商に赴任。65年に監督に就任すると、以降、佐賀商で65年夏、千葉商で70年春、印旛(現印旛明誠)で78年春、81年春、83年夏、柏陵で99年春夏と公立校を甲子園に導き、81年春には準優勝に輝く。現在は麗澤大野球部コーチ。著書に「野球導」(日刊スポーツ出版社)がある。教え子に月山栄珠(印旛―阪神)、土橋勝征(印旛―ヤクルト)、鳥谷部健一(柏陵―西武、中日)ら。

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