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智弁和歌山の“魔曲”育てた緻密な戦略


魔曲の生みの親・吉本英治氏

【気になるあの人を追跡調査!野球探偵の備忘録(17)】「甲子園には魔物がすむ」。高校野球100年の歴史で、予測のつかない波乱の試合を人はしばしば魔物の仕業にたとえてきた。もし、その魔物を手なずけることができたら…。今や出場校のほとんどが採用する、ブラスバンドの定番曲「アフリカンシンフォニー」、幾多の大逆転劇を演出した「ジョックロック」など、多くの応援曲を手がけた智弁和歌山の吹奏楽部顧問、吉本英治氏に“魔曲”誕生の秘密を尋ねた。

「正直な話、まったくのネタ切れ状態のなかで、偶然生まれた曲なんですよ」

 智弁和歌山に赴任した当時、吹奏楽部の顧問を任された吉本氏は、野球部が甲子園に出場するたびに新作の応援曲を提供することを約束。地方大会から全校応援に駆けつける同校に合った、大きな声を生かせる曲として「アフリカンシンフォニー」を始めとする十数曲を作曲・編曲した。

 ところが力をつけ始めた野球部の出場回数に、徐々に曲作りが追いつかなくなる。

「毎年毎年出場するでしょ。もう飽和状態でね。生徒も覚えきれないし、だんだん優しく穏やかなメロディーの曲ばかりになってしまった。当時智弁の2年生だったうちの息子にも作らせたりしましたよ」

 血眼になって音源をあさるうち、ヤマハのデモテープに収録されたある曲にたどり着いた。

「原曲はゆっくりした曲調だったんですが、アップテンポにすれば押せ押せムードが出るかなと」

 2000年夏、智弁和歌山は生まれたばかりの新曲「ジョックロック」とともに2度目の全国制覇を成し遂げる。

 ジョックロックはその後、この曲が流れると大逆転劇につながるとして、高校野球ファンの間で「魔曲」と呼ばれるようになった。魔曲の効果はその不協和音にあるのではと吉本氏は言う。

「不安な気持ちにさせるというのはあるでしょう。短いフレーズを繰り返し繰り返し奏でることで感覚がまひしてくるのかも」

 不思議なことに他校が用いても本家のような効果が得られないのも、この不協和音が原因だ。

「ジョックロックの楽譜は市販されてませんから。あれを耳コピで譜面に起こすのは相当難しい。ネットに上がってるのを聞いても、だいたいは少しずれています」

 一方で魔曲を魔曲たらしめた裏には、応援団の緻密な戦略があったという。

「最初の年にたまたま結果が出たことで、大逆転のイメージをつけることができた。なるべくそれを壊さないようにと、使いどころには気を使いましたね」

 高校野球の応援では一般的に打者ごとにテーマ曲を変えるが、それではすぐ終わってしまい、盛り上がりに欠けるとして、智弁和歌山では回の頭から終わりまで同じ曲を演奏し続ける。だがジョックロックだけは例外で、8回以降、得点圏に走者が進んだ場面が合図となる。さらに応援部と吹奏楽部がトランシーバーで連携を取り合い、開始のタイミングをつぶさに検討するという。

「ジョックロックがかかるとビッグイニングになるのではなく、ビッグイニングになりそうだからジョックロックをかける。もともと魔曲だったのではなく、徐々に魔曲に育てていったんですよ」

 近年では効果が薄れてきたとも言われるジョックロックだが、何が起こるかわからないという魔力は健在だ。

「多用しすぎても『ジョックロック不発!』なんて言われたりしてね(笑い)。“もしビッグイニングを作れなかったら”と、選手のプレッシャーになっているところもあるかもしれない。でも、曲が流れ始めると相手にも緊張感が漂うし、球場全体が異様な盛り上がりを見せる。“何かが起こりそうな雰囲気”を作り出すきっかけとしては十分です」

 すでに吹奏楽部の顧問を退いた吉本氏だが、新顧問のもとで“新魔曲”と呼ぶべき曲も誕生している。4年前、当時の部員が作曲した「シロクマ」だ。
「ジョックロック同様に、智弁和歌山の新たな魔曲として育てていってほしいですね」

 魔曲を生み出し、育て上げる智弁和歌山の“軍楽隊”。甲子園の魔物を手なずけるその音色は、これから先も何より強い味方に違いない。

☆よしもと・えいじ=1954年11月24日生まれ、奈良県下市町出身。小学校6年生からトランペットを始める。畝傍高卒業後、奈良教育大に進学。77年、数学教諭として智弁学園に赴任する。79年からは智弁和歌山で教鞭を執る傍ら、吹奏楽部顧問として数々の応援曲を作曲。アフリカンシンフォニー、ジョックロックなど甲子園の定番応援曲の編曲も手がける。2012年吹奏楽部顧問を引退、現在は教頭として同校の執務にあたる。

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