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お笑い芸人初のプロ野球選手「360°モンキーズ」杉浦 情熱を呼び覚ました卒業アルバム


投手として独立リーグに挑戦する杉浦

 お笑い芸人初のプロ野球選手が誕生した。東京の強豪・帝京高野球部出身で四国アイランドリーグplusのトライアウトを経て、今季から愛媛マンダリンパイレーツでプレーする「360°モンキーズ」杉浦双亮(40=登録名・サブロク双亮)がその人だ。四十路男の挑戦の足跡をたどった。

 幼いころから夢はプロ野球選手。しかし、最速141キロを誇った速球は制球に難があり、帝京高では3年間ベンチ入りすらかなわなかった。「本当に野球が嫌いになった。とにかく毎日が憂うつで、野球本来の姿、楽しさを見失ってました」。休みは年に2日だけ。疲労骨折でも休むことは許されず、水もろくに飲めなかったという。「3合メシって文化があって、とにかくたくさん食わされるんですけど、ご飯3合に対して水はコップ1杯だけ。メシのときも飲ませてくんねえの?って。隠れて水たまりの水や川の農業用水を飲んでいたんで、みんな下痢していました」

 厳しい練習、理想と現実のギャップ。いつしか夢への情熱は薄れていった。「相方の山内もサッカー部でレギュラーになれなくて『違う形で目立ちたいな』と思って始めたコントが楽しかった」。大学では野球を離れ、その後は太田プロダクションに所属した。だが、心底野球が嫌いになったわけではない。高校卒業後の20年間は、草野球に身を投じてきた。

 忘れていた情熱を呼び覚ましたのは、たまたま見つけた高校時代の卒業アルバムだ。「『野球は諦めて芸人になる』と書いてあるんです。なんで諦めちゃったんだろうって。40歳だけど、行動しなきゃ可能性はゼロ。0・1%でも可能性があるなら挑戦してみなきゃわからない」。

 球速は119キロまで落ちていたものの、長年の草野球の経験で制球力は向上していた。「投球スタイルはがらりと変わりましたね。高校時代はキャッチャーミットしか見えてなくて、本当に視野が狭かった。今は観客まで含めて、球場全体を見ながらプレーできてる」。18歳から25歳の受験者のなかでも上位の成績を残し、20年以上の時を経て夢を現実にした。

「今ではタカさん(高校の先輩でもある、とんねるずの石橋貴明)もなれなかったプロ野球選手。お笑いではまだまだだけど、野球ではタカさんを超えた。プロとして『リアル野球BAN』(バラエティー番組の人気企画)に出てやるよって感じです(笑い)」

 交友関係は芸能界だけにとどまらない。振り返れば20年の時間は、経験だけでなく人脈も作っていた。「同学年の高橋由伸さんとも何年か前から交流がある。今回もメールを頂いて、『お互い頑張りましょう』と励まし合った。監督になった以上、僕のことも一選手として見てくれてる。今年のドラフトに向けてアピールしていければいいですね(笑い)」。挑戦し続ける男は、NPBまで視野に入れている。

 相方の山内は今後はピンでの活動になるが、杉浦は「コンビであり、よきライバル」と言う。「もしもあいつが一人で活躍したら、うれしい半面悔しい。僕がやって山内がやって、お互いレベルアップして戻ってきたい」

 最後には、代名詞でもある「細かすぎるモノマネ」の誕生秘話も披露した。「もともとは野球がうまくなるために始めたんです。日本の教え方は型にはまってるのに、外国人は『なんでそれで打てんの?』っていうぐらい自由なフォームで打っている。そこからは外国人ばかり見てた。高校のときフィルダー(当時阪神)のフォームをまねて打っていたんですけど、本人になりきるために応援歌を口ずさんでいたんですよ。例のバースのやつを。そうしたら周りが笑ってて『これ面白いんだ』って。笑いに転じた瞬間ですね」。所属するリーグはDH制をとっているため、試合で披露する機会がなさそうだが、現在の杉浦の打撃フォームはいたって普通だ。本人によると「巡り巡って普通に戻るもん」だという。

「『一度生きる』と書いて一生。一度しかない人生を、悔いなく思いっきり楽しんでいきたい。今は入団が楽しみでしょうがないです」。子供のように話す杉浦の目は、きっと高校生のころと変わらない。

☆すぎうら・そうすけ=1976年2月8日生まれ。東京都八丈島出身、小学3年時に父と始めたキャッチボールで野球に興味を持つ。4年生で三根小の少年野球チームに所属し、ポジションは投手。松涛中ではエースを務め、帝京高に進学するも3年間公式戦登板はなし。帝京大進学後は野球を離れ、3年時に帝京高同級生の山内崇と太田プロに所属、お笑いコンビ「360°モンキーズ」を結成する。草野球歴は20年。昨年四国アイランドリーグplusのトライアウトを受験、今年1月20日に愛媛マンダリンパイレーツと契約した。背番号「36」。174センチ、73キロ。右投げ両打ち。

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