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上原と田中のスプリットここが違う


上原浩治「中継ぎピッチャーズバイブル」(30)

 レッドソックスの上原浩治投手(40)の繰り出すスプリットは現在のメジャーでは最高の決め球の一つだろう。そしてスプリットの使い手といえばもう一人、ヤンキースの田中将大投手(26)を忘れるわけにはいかない。ア・リーグ東地区の名門チームの守護神とエースとしてグラウンドで対決する2人はお互いの“伝家の宝刀”をどう見ているのか。

 田中は上原のスプリットをこう見る。

「上原さんの中で、スプリットだけでもいろんな投げ分けがあると思いますね。変化の仕方が違いますから。要するに(相手にストレートとスプリットの)2種類だけって思わせて、でも実際には何球種もある。だから攻略するのが難しいクローザーなのかなと思いますし、成功されているんだと思います」

 年齢は離れている2人だがスプリットを生命線とし、強烈なバットスピードを誇るメジャーの強打者たちを手玉に取るところが共通点だ。ちなみに田中の場合、生命線となる変化球は「スライダー、スプリット。基本的にはどっちも同じくらいですね」と2つだ。

 田中が指摘するように、上原のスプリットは3種類ある。上原はそれぞれどのようなイメージで投げているのだろうか。

「目線から真っすぐ落ちるのと、1回浮き上がるのと、ちょっとシュート気味にってのと。まあ、点差がある時はそうやって考えられるけど、点差がない時はガムシャラに投げている感じやから、それほど考えて投げているというのはない」

 もう少し説明を加えるとこうだ。(1)打者の目線からストンと落ちるもの(2)ふわっと浮くような、球速を抑えたもの(3)ホームベースの三塁側の角をかすめるように逃げながら沈んでいくもの。

 一般的に、スプリットというと勝負球の印象が強い。だが、上原も田中もカウント球としても有効に使っている。田中はこう話す。

「カウントを稼ぐ球として、わざとストライクゾーンに投げるようになりました。日本にいる時はやっていなかったことですね」

 一方、上原はこう説明する。「先発とクローザーでは立場が違うからね。もう、初球から勝負なので。(初球から積極的に打ってくるレイズの主砲)ロンゴリアとの勝負なんかも初球からですよ」

 どう変化するか分からない複数のスプリットを持つ上原に対し「追い込まれたくない」というのが打者心理だろう。打者はどうしてもファーストストライクから振ってくる。

 それに加え、相手チームは徹底的に研究している。上原はこう話す。

「抑えに対しては、中継ぎよりも対策をしてくるでしょ。向こうも僕が初球からどんどんストライクを取ってくるって分かっているし、初球から振ってきますよ。追い込まれたらスプリットがあるって思うやろうし、特に今年は初球から打ってくることが多い。でも、それは抑えになったからというわけではなく、この2年間で見てきたものがあるからやと思う。いろんなデータがあるでしょ。いつも言っていますけど、ホンマにだまし合いやからね」

 そんな上原は7月24日(日本時間25日)、今季初めて2回を投げ無安打無失点と好投したタイガース戦で、自身の投球をこう振り返った。

「今日は右打者の時、うまいこと(スプリットが外角低めに)動いてくれた。意図したボールじゃないんですけど、勝手にスライダー気味になってくれた。すごい良かった。狙って投げられるならベストなんですけど、あのボールが欲しいね」

 上原は左打者に対してシュート気味に逃げていくスプリットについては「いけるんですけど」と自信をのぞかせている。過去7シーズンの被打率を見ると、7月26日(同27日)現在、左打者1割8分5厘に対し、右打者は2割5厘。右打者に対するスライダー系スプリットが4つ目として加われば、上原はさらに進化を遂げることになる。「自分の体、成長、もうダメだと思えばそれは引退する時。引退するまでは全てにおいてのびしろがあると思ってやっています」

 日米球界最年長クローザーが「原動力」と話す反骨心は健在だ。当然まだまだ引退するつもりはない。それは田中のスプリットについてこう語っていることからも分かるだろう。

「彼のスプリットは世界一って言われていますから、彼に負けないように頑張らないとね。そう言われるように頑張りますよ」

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