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上原が大体大で素質が開花した理由


上原浩治「中継ぎピッチャーズバイブル」

大阪体育大時代の上原

 レッドソックスの上原浩治投手(39)はいかにしてメジャーを代表するクローザーになったのか。その軌跡を振り返る後編は大阪体育大時代に焦点を当てる。東海大仰星高での3年間を“補欠”として過ごした上原は同大入学後、一気に開花した。日々の努力を怠らず、素晴らしい仲間にも恵まれことも大きい。しかし、何よりプラスに働いたのはトレーニング。大学時代に現在、中日の二軍コンディショニングトレーニングコーチを務めている塚本洋氏(39)たちと取り組んだトレーニングが今の守護神の基礎になっている。(カルロス山崎通信員)

 上原は大阪体育大の4年間をこう振り返る。

「好きなようにやっただけ。毎日のように投げさせられるわけでもないし、連投だって全然ない。軍隊のように動く大学、野球部じゃなかったから、それが良かったと思う。自分に合っていた? そうですね。多分、強い大学とかに行って投げさせられていたらつぶれていたと思う」

 野球を楽しむつもりで入学した上原の意識を大きく変えたのはトレーニングだ。

「大学でやったトレーニングは今もすごく生きていますよ。今、中日の二軍でコーチをしている塚本さんが(学生コーチ、トレーナーとして)いて、そういう人たちが中心になって(トレーニングなどの)メニューを考えてくれましたから」

 現在の上原を支えているトレーニングはプロではなく学生が考えたものというのは驚きだ。塚本氏はこう明かす。

「ボクはプロ野球のトレーニングコーチになるために大阪体育大学に入った。大学の野球部には専用グラウンドがないので、練習というとトレーニングに時間を割くことになりましたから。グラウンドでやるのはピッチングとランニングとかで、それ以外の大半の時間をトレーニングルームで過ごすとなると、いろんな細かいことの取り組みがしやすいですよね。上原だけじゃなく、チームとしても、出せば出すほどみんなが興味を持って吸収していった。その中心に上原がいて、彼に負けないように周囲がやると、上原がもっとやるという、競争というか盛り上がりがありましたね」

 塚本氏はどうやってトレーニングを確立していったのか。

「モデルにしたのは、『ノーラン・ライアンのピッチャーズ・バイブル』。あと、立花龍司さんの『ピッチャーズ・コンディション』、手塚一志さんの『肩バイブル』。この辺が書籍として出始めた時期で、(これらの本を)軸に野茂さんの調整法も。当時の流行に、大学で学んだこと、(病院やスポーツジムなどの)アルバイト先で学んだことを分かりやすく編集してチームに下ろす、そんなことを繰り返していた。(選手)本人たちも、僕らでいろいろ試してくださいとか、やってみますとか言っていたことも覚えていますが、やる方も伝える側も必死だったと思います」

 そんな塚本氏の熱い思いがメジャー屈指の守護神の土台を作ることになろうとは、当時は誰一人として想像もしなかったことだろう。大阪体育大で過ごした4年間が大きかったと話す上原にとって塚本氏はまぎれもなく“恩師”だ。もっとも、塚本氏も上原に感謝している。

「ボクにとっても大学の4年間は大きかった。ウィキペディアでは、ボクが教育係とか、ボクが上原を育てたって出ていたりする。マスコミ上はね。でも、ボクは上原に育ててもらったと思っている。彼の高い欲求があったから、それに応えると、どっちかというとボクが後追いなんです。彼の求めるレベルが高いから、それに負けないような情報を持って帰らないといけなかった。3年間はその繰り返しでしたね。選手の満足度、成果、効果、パフォーマンスを上げるということに毎日応えていたら、最終的にボクが社会人野球(パナソニック)へ行って、プロまで来られたのは彼のお陰でしかないですね」

 上原が大学時代に学び、現在も続けていることはシンプルだ。

 上原は「走り込んだことかな。大学に入って、自分でメニューを考えるようになって、ほとんど、ずっと走っていましたね。やらされるんじゃなくて、自分からやっていたから楽しかった。やっぱりやらされる野球と、自分からやる野球は全然違うから。その方が実力も伸びていくと思うし、それは少年野球にも言えること。やっぱり楽しいと思えたら、自分からやりますからね」と明かした。選手、指導者にとってこれほど参考になる言葉はない。

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