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昨季大谷同僚から楽天入り・カリブ出身男の運命変えた出会い


新天地の楽天で4番として期待されるブラッシュ。左はコザート(ロイター=USA TODAY Sports)

【元局アナ 青池奈津子「メジャー通信」=エンゼルス・ジャバリ・ブラッシュ選手】あの日、あの時、あの場所で、あの人に会わなかったら今の自分は…という出来事が、誰しも人生に一度はあるのではないだろうか? 昨季は大谷のいるエンゼルスでプレーし、昨年12月に楽天への入団が決まったジャバリ・ブラッシュも、そんな経験をしている。

 出身はカリブ海に浮かぶ米領バージン諸島のセント・トーマス島。海に囲まれた美しい島の生活をうらやましがると「なかなか悪くない時間を過ごせる場所だよ」。カリブの島の出身者には珍しいクリアなアメリカ英語で話し、ニヤッと自慢げな顔をした。

 その点を指摘すると、急になまりのある英語に切り替え「もともと、ひどいアクセントがあったんだ。島の人たちは、なまりのある人がほとんど。でも、こっちに来て何度も聞き返されるのが嫌になって、いつしか米国の発音と使い分けるようになった」と明かした。

 少しトーンの上がったこのなまり、どこかで聞いたことがある。でも、ドミニカ共和国やメキシコなどとは違う。「セント・トーマスは人種が多様で、インド人や中東の人が多くいる。あとはハイチやセントクリストファー・ネビス連邦などなど。アメリカナイズされた観光島で、みんないい暮らしを求めて移住して来るんだ」

 意外なことだらけの話の中で特に驚いたのは、島での野球事情かもしれない。「割と多くの子供たちがリトルリーグでプレーするかな。小さいコミュニティーだし、親たちも子供に何かしらアクティビティーをさせたいからね。でも次第にみんな興味が薄れていって、中学生のころにはチームを作るのも大変だった。出場しないかもしれない試合に行くモチベーションが減って、おっくうになっちゃうんだ。そこからの野球文化はないに等しい。僕が高校2年生の時に出たのはたった7試合だよ」

 そんな環境だったため「野球選手になる夢なんて、みじんも抱かなかった」という。「うちは中学から母が1人で3兄弟を育ててくれていたから、大学に行くなんて思いもしなかった。父が建設関係の仕事で兄と一緒にトレーラーや重機の運転の仕方を覚えたから、土木技師になって母を助けようって決めていたくらい」

 それでもジャバリが大リーグにたどり着いたのはなぜか。「完全に運。親友が島屈指の左投手で、マーリンズにドラフトもされ、将来を有望視されていたんだ。その過程でフロリダのジュピターで行われたパーフェクトゲーム(プロのスカウトなども多く参加するアマチュア大会)に呼ばれて、その時『ついでに、この選手も連れていってくれないか』と、コーチが無理やりねじ込んだ選手が僕だったんだ」

 この時、数人のスカウトの目に留まったということ以上の変化がジャバリの身に起こる。「野球場に行って、練習を続けようって思ったんだ。友人が奨学金をもらって大学に行くのを目の当たりにして、大学の奨学金をもらえるかもしれないという可能性に、とても影響を受けた」

 ジャバリは、この親友ケレン・セントルースさんから、勤勉さやモチベーションを学んだ。「それまでは、才能があってもモチベーションはなかったし、ビジョンもなかったから。夢があってビジョンがあれば、そこに向かって決断ができるようになると僕は思うんだ」

 楽天ではFAで西武から獲得した浅村の後を打つ4番候補として期待されている。今はどんなビジョンを抱いているのか。緩やかなセント・トーマス島の気質が日本と合いますように。 

☆ジャバリ・ブラッシュ 1989年7月4日生まれ。29歳。米領バージン諸島セント・トーマス島出身。2007年にドラフトでホワイトソックスから29巡目、09年はレンジャーズに9巡目で指名されるも入団せず、10年にマリナーズから8巡目指名されて入団。15年オフにパドレスに移籍し、16年4月にメジャーデビュー。17年オフにヤンキースにトレードされ、翌春キャンプ中にエンゼルスに移籍。メジャー通算123試合で8本塁打ながらマイナーでは通算169発。196センチ、106キロ。右投げ右打ち。愛称は「ビッグ・ダディ」。

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