東京マラソン成功で市民マラソン「組織化」計画

2018年02月27日 11時00分

東京駅を背にランナーがゴールした東京マラソン

 市民マラソンを「ブーム」で終わらせないよう陸上界が手を打つ。25日に行われた東京マラソンは12回目の今年も約3万6000人が都心を駆け抜け、設楽悠太(26=ホンダ)が日本最高記録を樹立するなど成功裏に大会を終えた。大規模市民マラソンは各地で開催されており、ランニング人口も増加傾向。ただ、安全対策やランナーへの環境整備などで問題を抱える大会もあり、日本陸上競技連盟の主導で組織化することになった。

 日本陸連が10月に法人設立を予定しているのが仮称「RunJapan(ラン・ジャパン)」。全国の市民マラソンと連携を図り、日本におけるすべてのランニングイベントを「安心・安全な運営」「ランナーの競技力向上」「マナー向上」の観点から支援する。詳細は6月に発表される予定だ。

 東京マラソン前日の24日、各地の大会を運営するレースディレクターの会合が都内で開かれ、日本陸連の尾県貢専務理事は「日本の市民マラソンは活況を呈している。フルマラソンの完走者は米国を抜いて世界一という統計もあり、他国を圧倒している。一方でレース中のアクシデントや運営上のトラブルも報告されている。これに正面から取り組んで解決する。マラソンブームをマラソン文化にしていかないといけない」と語った。そのプロジェクトリーダーを務めるのが、東京マラソンのレースディレクター・早野忠昭氏。

 陸連の資料によると、全国約3000大会(ファンランを含む)のうち陸連公認のロードレースは約200。非公認の約2800で多くの事故が発生している。そこで公認・非公認を問わず「RunJapan」加盟を募り、共通の「マラソン大会保険」によるカバーなどを進める。加盟大会には共通のロゴマークの使用権を与え、ランナーには一定の安全の“お墨付き”があることを分かりやすくする。

 早野氏は「各大会は、良く言えばオリジナリティーがあり、悪く言えば“野放し”の状態。『ここまではやろうよ』という共通の部分を一定程度くくって、その先はオリジナリティーというふうにして、安心・安全な大会にしたい。(マラソン人気は)右肩上がりのようにバブルで来て、いま踊り場に来ている。ここでどうするのかが問われている」と問題提起した。

 25日の東京マラソン参加者からは「素晴らしい大会」「5回目だが、最初の時よりトイレも増えた」と運営を評価する声が聞かれる。これまでの開催で完走率はほぼ95%以上。日本のフルマラソン大会は15年に77に達したというデータがあり、別の統計によると同年の日本における完走者は60万人弱で、55万人弱の米国を初めて抜いた。

 これだけみると日本のブームはすさまじいが、陸連は「スタート直後の転倒事故」「替え玉ランナーが優勝」「熱中症を訴え大量搬送」「完走者が死亡」などを「相次ぐ運営トラブル・事故の増加」として挙げている。名指しされていないが、道路使用許可申請がなされてなく、大会2日前に突然中止された都内の大会とみられる4年前のケースも例示された。

 さらには、過去のディレクター会合では「警備費の負担が年々大きくなっている」「ボランティア集めに苦労」「審判員の確保が難しい」「参加者マナーの啓蒙」といった課題も寄せられた。

 東京マラソンはこの2年ともフルマラソンに約32万人が応募し、抽選倍率が約12倍と右肩上がりなのに対し、大阪マラソンや横浜マラソンのように応募者が下降傾向の大会もある。昨年、NHKが「マラソン大会ウォーズ~激化する市民ランナー獲得競争~」で紹介したが、鹿児島では同時期のレースの一方が廃止となった事例もある。

「RunJapan」では安心・安全面のほか、マーケティング情報の共有で「スポンサーがつきやすい」(早野氏)という経済面や人材養成でのメリット提供も図る。

 一方で加盟には一定の条件を課す方向。これに前出の東京マラソン参加者は「確かに安全は大切だけど、あまり締めすぎると、開催できない大会も出てくるのでは」と疑問を呈した。