小出監督愛弟子・原裕美子容疑者「万引き逮捕」のなぜ

2017年08月18日 16時30分

原裕美子容疑者(写真は2007年)

 2005年の世界陸上ヘルシンキ大会で6位に入賞したマラソン元日本代表の原裕美子容疑者(35)が17日、栃木県足利市内のコンビニで万引きした窃盗容疑で足利署に逮捕された。容疑を認めている。13年の現役引退後も、復帰を模索し東京でトレーニングを積んでいたが、現在は地元に帰りスーパーで契約社員として勤務していた。数々の名ランナーを育てた小出義雄氏(78)の門下生で“最強日本の最終兵器”とまでいわれた原容疑者に一体何があったのか。

 原容疑者は先月30日午後4時15分ごろ、足利市大月町の「セブン―イレブン足利大月町店」で、化粧品、飲料、菓子パン、洋菓子、おにぎりなど8点(計2673円相当)を肩にかけたトートバックに入れて盗んだ疑いが持たれている。

 県警によると「自宅近くにもコンビニは複数あるが、現場のコンビニはJR足利駅を挟んで自宅とは南北に相当離れており、車で来店した」といい、品数の多さからも“魔が差した”というより計画性すら感じさせる。

 同容疑者は足利市出身。宇都宮文星女子高を卒業後、実業団の名門・京セラ入り。初マラソンの05年名古屋国際女子マラソンで優勝し、同年の世界選手権ヘルシンキ大会で6位に入賞した。当時は00年シドニー五輪でQちゃんこと高橋尚子(45)、04年アテネ五輪で野口みずき(39)と日本勢が2大会連続で金メダルに輝き、日本女子マラソンの黄金時代。同容疑者も両選手に続く“日本の最終兵器”と期待を集めた。07年の大阪国際女子マラソンでも優勝したが、同年の世界選手権大阪大会では18位だった。

 10年に高橋らを育てた名伯楽・小出監督が指導するユニバーサル・エンターテインメントに移籍し、同年の北海道マラソンで優勝したが座骨神経痛を患い、13年に引退。その後も復帰を模索して東京でトレーニングを続けていたが、14年に地元へ戻り体育館の受け付け業務やスーパー店員などの職を得ていた。

 その一方で、09年からは県から委嘱されて「とちぎ未来大使」を、昨年からは栃木県スポーツ推進審議会委員も務め、地元出身のアスリート・文化人として各地で講演活動やマラソン講師など単発の仕事の依頼も舞い込んでいた。

 現役時に活躍し、引退した女子マラソン選手といえば、松野明美(49)はタレントから熊本県議に転身。同じ小出門下生の有森裕子(50)は日本陸上競技連盟の理事や日体大客員教授を歴任し、同じく小出門下生の高橋はキャスターや解説者として活躍している。華々しく見えるが、これらは一握りで、現実は原容疑者のように地味なセカンドキャリアを送っている選手がほとんどだ。

 とはいえ、同容疑者は自身のフェイスブックでたびたび、日本酒やワインを楽しむ写真をアップしたり、ゲスト参加したマラソン大会を報告したりするなど、充実した生活ぶりをうかがわせる。とても菓子パンを万引きしなければならないような生活に困窮した様子はない。

 同容疑者を知る関係者によれば近年、結婚式を挙げていたという情報もあるが、「両親と実家住まいだった」(捜査関係者)。父親もテレビ各局の取材に、挙式したが入籍はしなかったと話している。何らかの環境の変化が一因になっている可能性もある。

 同容疑者が以前に勤めていた会社の責任者は「根っからのスポーツマンらしく礼儀正しかった。仕事上でも全くトラブルはなかった。マラソンであそこまで上り詰めた人がなぜそうなったのか…本当に残念です」と語った。

 約3年間、原容疑者を指導した小出氏は、逮捕の一報を聞き「なに~! 本当か~!」と驚いた。退社後は特に連絡はなく「辞めてからは会話もしていないなあ。現役時代は練習を真面目に全力でやる子でした。ただただ集中してマラソンだけに向き合っていた。そんなこと(万引き)はなかった。本当~?」とただただ驚いた様子だった。

(一部敬称略)