小出義雄氏が分析〝女子マラソンが弱くなったワケ〟

2012年03月14日 12時00分

日本陸連は12日、ロンドン五輪マラソン代表メンバーを発表した。男子は藤原新(30=東京陸協)、山本亮(27=佐川急便)、中本健太郎(29=安川電機)。女子は11日のロンドン五輪最終選考会「名古屋ウィメンズマラソン」で日本人最高位(2位)となった尾崎好美(30=第一生命)のほか、重友梨佐(24=天満屋)、木崎良子(26=ダイハツ)が選出された。

 女子は選考レースで最高位の3人。順当と言える選考だったが、実は誰が代表になっても日本陸上競技連盟はメダル獲得に〝お手上げ状態〟だという。「日本のお家芸」だった女子マラソンはいったいどうしたのか。あの名伯楽が徹底分析した。

 2009年世界選手権銀メダルの尾崎は中里麗美(23=ダイハツ)とのデッドヒートを制し、ロンドン五輪出場を決めた。ただ、尾崎も中里も35キロすぎにアルビナ・マヨロワ(34=ロシア)にあっさり抜かれると、ついていけない。そのまま優勝をさらわれてしまった。

 これに日本陸連からは厳しい発言ばかり。「世界との戦いを見据える場合、簡単に引き離されたのは残念」(尾県貢専務理事)、「マヨロワよりも強い選手は世界にたくさんいる。ロンドン五輪で女子のメダル獲得は厳しい問題だと感じている。きっちりサポートしていかなくては」(河野匡強化副委員長)。本番でのメダル獲得に向け早くもお手上げ状態なのだ。

 実際に日本の代表候補はいずれも2時間20分を切っていない。世界のトップとは差があるのが実情だ。

 とはいえ、日本の女子マラソンは五輪で華々しい成績を残してきた。有森裕子さん(45)がバルセロナで銀、アトランタで銅メダルを獲得。シドニーでは高橋尚子さん(39)が、アテネでは野口みずき(33=シスメックス)が金メダルを手にし、一時代を築いてきた。それがロンドンでは、始まる前から〝お手上げ状態〟とは…いったいどういうことなのか。

 高橋さんを指導した陸上長距離の〝名伯楽〟こと、佐倉アスリート倶楽部代表取締役の小出義雄氏(72)は、本紙の取材にこう分析した。

「やっぱね、今の子は生活も、練習環境も恵まれすぎてるの。五輪で金メダルを取るようなQちゃんや野口さんはね、小さい頃からすごく質素な生活をしてきたから、何を食べても素直に『おいしい〜っ』て喜んで、そのためにまた頑張れるの。そういう子はね、練習でも粘れるの。2人は、今の子たちの10倍は練習してたよ。海外を見てよ。ケニアもロシアもみんなハングリーだよ。勝てば〝カネ〟がいいからね。いろんな意味で貧乏しないとダメなの!」

 最近の若い男性は「草食系」と指摘されることが多い。女子マラソンもQちゃんや野口のようなハングリーな選手が激減し、〝草食系ランナー〟ばかりだという。残り4か月、女子マラソンの代表はどこまでハングリー精神を磨けるのか。お家芸復活のカギはそこにある。

 

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