【英・ロンドン4日(日本時間5日)発】陸上の世界選手権が開幕した。男子100メートル予選が行われ、サニブラウン・ハキーム(18=東京陸協)が10秒05の自己ベストタイをマークし、2組トップで準決勝に進出。強豪を抑えての好レースに、日本人初の9秒台、決勝進出が見えてきた。また、多田修平(21=関学大)、ケンブリッジ飛鳥(24=ナイキ)も準決勝に進み、世界選手権、五輪を通じ、初めて日本人3選手が準決勝進出という快挙を成し遂げた。

 超満員の観衆の前で、サニブラウンが堂々の走りを見せた。向かい風0・6メートルの条件のなか、スタートからグングンと加速し中盤でトップに立つと、伸び伸びとした走りで駆け抜けた。2011年世界選手権金メダリストのヨハン・ブレーク(27=ジャマイカ)らを抑えて同組トップ。「あまり焦らずにできた。ちょっと寒くて心配だったけど、体は動いた。緊張しなくて大丈夫なのかな、という感じだった。まずまずだった」。大舞台にも硬くならず、自然体でレースに臨めた。

 今年から海外に拠点を移し、6月の日本選手権で大会記録タイとなる10秒05で初優勝。日本のエースとして世界の舞台に挑んだ。この日のレースも最後は余裕すら感じさせる走りで10秒05。ギアを上げる準決勝ではさらにスピードを増すはずで、9秒台、そして決勝進出という日本人初の偉業達成の期待がかかる。「切り替えて準備していく。ここから1段、2段と上げて決勝まで行きたい」。若きエースが歴史を塗り替えそうだ。

 多田、ケンブリッジも準決勝進出を果たし、日本短距離陣の成長が際立った。予選6組に出場した多田は今大会で現役を引退するウサイン・ボルト(30=ジャマイカ)の隣で力走。中盤までトップで走り、天下のボルトがジロリと横目でチェックする場面もあった。終盤で抜かれたが、10秒19の4着でフィニッシュ。タイム順で予選を突破した。「前半1位でいけたのが良かった。後半力んでしまったところを修正したい」と笑顔。4組4着だったが10秒21をマークし同じくタイム順で準決勝進出を決めたケンブリッジも「やはりこの雰囲気は楽しいと感じている」と好感触。5日(日本時間6日)の準決勝、決勝で、日本勢が最高の走りを見せる。