箱根V!日体大監督“負ければクビ”だった

2013年01月05日 16時00分

「第89回東京箱根間往復大学駅伝競走」(2、3日)は、往路優勝した日体大が最後までトップを譲らぬまま11時間13分26秒でゴール。1983年以来30年ぶり10回目の総合優勝を飾った。昨年は19位の大惨敗に終わったが、超V字回復でミラクル優勝。その裏では、大学トップから別府健至監督(46)に「結果が出なければ即クビ」という容赦ない最後通告があったという。

 

 誰も予想できなかった予選会からのミラクルV。「みなさんの応援のおかげです。4年生とは兄弟みたいだった。優勝を贈れてうれしい」と最優秀選手に選ばれた服部翔大主将(3年)は最高の笑顔だった。

 

 日体大は今年の箱根駅伝で65年連続65回出場を果たした伝統校だが、昨年は19位でシード権を失った。大会直後から別府監督は3年生の服部を主将に任命するなど即座に再建に着手したが、結果を求める大学側は就任14年目の別府監督に容赦ない重圧をかけた。

 

「日体大は体育の大学。勝たなければいけないんです。私は別府監督に『望む限りのサポートはすべてする。ただし次、結果が出なければ即クビ。他に代わりはいくらでもいるから』と通告しました」と打ち明けるのは日体大の松浪健四郎理事長(66)だ。

 

 大学スポーツにもかかわらずプロ並みの“非情通告”。進退のかかった別府監督は、腹が据わった。猶予として「あと2年やらせてほしい」と希望し、まずは今大会の目標を3位以内に設定。大学側の許可を得て、駅伝の名門・西脇工高を率いた恩師の渡辺公二氏(75)を特別強化委員長として招いた。

 

 これで部員たちの生活面は一変。深夜までダラダラとテレビを見たり、ゲームをすることなく、夜10時半の消灯を厳守。食事もきちんと取り、部屋から菓子類が消えた。練習前のグラウンド掃除も加わり、戦う集団に変身した。

 

 効果はすぐに表れ、昨年10月の予選会ではトップ通過。自信をつけ始めた選手たちに、別府監督は「箱根駅伝に関する報道を一切見るな」と指示した。昨年19位で優勝候補に名前が挙がらない状況。再び自信を失わないための措置だが、選手に対して心身ともに細心の注意を払った。

 

“最後通告”が奏功した松浪理事長は「まさかここまでとは」と目を細めた。別府監督も「全員がよく頑張ってくれた。チームが一丸となってくれた」。どん底からの復活劇は、チームと大学側が一体となった証しだ。