26日に号砲が鳴る東京マラソンの会見が24日、都内で開かれ、陸上世界選手権(8月、ロンドン)の代表選考もかかる日本男子勢は早くも脇役に追いやられた。世界選手権の代表は3枠。日本人1位かつ2時間7分0秒の派遣標準記録を満たせば、即代表内定となる。しかし、この日の会見に出席した3人の国内招待選手からは“何としても切符をつかむ”という気迫は感じられなかった。

 4度目の出場となる今井正人(32=トヨタ自動車九州)が2時間8分30秒プラスアルファ、前田和浩(35=九電工)も2時間9分台といずれも自己ベストを下回るタイムを目標に設定。2度目のマラソン挑戦となる服部勇馬(23=トヨタ自動車)も2時間8分にとどまった。弱気な日本勢を尻目に海外勢はウィルソン・キプサング(34=ケニア)が、現在の世界記録を7秒上回る2時間2分50秒の世界新樹立を予告。他の選手からも自己ベスト更新を目指す声が続出した。

 この背景にあるのは、今年からのコース変更。ゴールが東京駅前になり、起伏の少ない平坦なコースになった。だが、順大時代は“初代山の神”として知られた今井は「アップダウンが勝負できるポイントだと考えていた」と誤算も告白。戦う前から海外勢との差が開いてしまった格好だ。

 男子の選考レースは4大会。昨年12月の福岡国際マラソンでは公務員ランナーの川内優輝(29=埼玉県庁)が2時間9分11秒で日本人トップとなる3位に入って名乗りを上げる。残る3月5日のびわ湖毎日マラソンには昨夏のリオ五輪代表組や青山学院大のエース・一色恭志(22)らが出場を控える。東京で野心をむき出しにした選手がいないのは残念だ。