100メートルVのケンブリッジ飛鳥「9秒台は通過点」

2016年06月27日 16時30分

ケンブリッジ(中)は山県(右)、桐生を抑えて優勝

 リオ五輪の代表選考会を兼ねた陸上の日本選手権(愛知・パロマ瑞穂スタジアム)。25日に行われた今大会最大の注目レース・男子100メートルはケンブリッジ飛鳥(23=ドーム)が10秒16で制した。山県亮太(24=セイコーHD)が0.01秒差の2位、10秒01のタイムを持つ桐生祥秀(20=東洋大)が10秒31で3位。向かい風0.3メートルに加え、大粒の雨で記録は伸びなかったが、3強の走りは今後に期待を持たせるものだった。

 

 日本の男子100メートルがここまで注目を集めるのは異例。10秒00の日本記録保持者でもある日本陸連の伊東浩司強化副委員長(46)は「私もこの雰囲気の中で走りたかったと思うほど競技場全体が100メートルに集中していた」と話すほどだった。

 

 その注目に押し潰された形となったのが桐生だった。これまでも期待が高まる度にケガに泣かされてきたが、今回も右脚にけいれんと見られるアクシデントが発生。伊東副委員長は「プレッシャーを一人で背負ってきた。これで少し楽になってもらってリオを目指してほしい」と気遣った。

 

 これに対し、度重なるケガを克服して日本一に上り詰めたのがケンブリッジだった。父の母国であるジャマイカへの短期留学をきっかけに肉体改造に着手。所属先のジムでトレーニングを重ね、昨年末から体重は5キロ増の78キロ、体脂肪率4%台の体を手に入れた。9秒台はあくまで通過点。「将来的には9秒8台をイメージしている」と高い目標を掲げる。

 

「9秒台といわずアジア記録(9秒91)を奪回してほしい」(伊東強化副委員長)。選手や関係者はあと一歩に迫った9秒台よりも、その先を見つめている。