リオデジャネイロ五輪マラソン女子代表に決まった福士加代子(33=ワコール)をめぐり、新たな騒動が勃発した。男女代表6人が都内で会見した18日、取材に応じたワコールの永山忠幸監督(56)は五輪本番まで福士の練習を完全非公開にする考えを表明。納得のいかない報道陣と丁々発止の押し問答となり、不穏なムードに包まれた。

 17日に発表された6人の代表選手で唯一、当日に会見しなかった福士は、全代表が集まって行われた一夜明けの会見で「やるだけやって、金メダルをゲットしたい。リオで金メダルだべ!」と晴れやかな表情を見せた。

 1月の大阪女子で優勝後、名古屋ウィメンズにエントリー。選考に波紋を呼んだ“福士騒動”の渦中には「温泉や銭湯に入っても、どこかで見られている気がした」と疑心暗鬼だったという。それでも念願のマラソン代表になり「トラック種目では『金メダル狙う』とは言えなかった。マラソンは過去に先輩が取っている」と、本番での頂点取りを見据えた。

 女子では唯一の派遣設定記録(2時間22分30秒)を突破した選手とあって、メダルの期待も高い。今後の調整にも注目が集まるが、それにカーテンを引いたのが永山監督だ。五輪前の練習公開を要望した報道陣に「途中経過は撮っていただきたくない。『今の調子はどうですか?』とか。我々としては必要ない。ボクは電話に出ないし、いるところは明かさない」と強い口調で拒否した。

 唯一、取材を許されたのは16年間にわたり、福士を追い続けているテレビ局1社だけ。国内レースに出場する場合は対応するものの、事実上の取材禁止令だ。“福士騒動”の余波なのか、永山監督は「我々が思っているような記事を書いていただけない方もいる。会社のホームページとか事務所に連絡がくる」と不快感をあらわにした。

 実業団の選手が五輪代表になれば、会社を挙げてPR活動を行うのが通例。それが企業側のイメージアップや宣伝につながるからだ。しかし、永山監督は会社とも合意の上と強調。取材に応じる気配は見せなかったが、五輪に向けて、各種スポンサーを抱える陸連サイドも含め、今後の対応が注目される。