第92回東京箱根間往復大学駅伝は3日、復路が行われ、往路を制した青山学院大学が10時間53分25秒で逃げ切り、2年連続2度目の総合優勝を果たした。1区から一度もトップを譲らない優勝は第53回大会の日体大以来、39年ぶりの快挙となった。今年キャプテンを務め、連覇の原動力となった“3代目山の神”こと神野大地(22)はマラソン転向後の青写真を公開。2020年東京五輪での現役引退も視野に入れ、大舞台での活躍を誓った。

 昨年の衝撃走で一躍「時の人」となった神野だが、今季は2度の疲労骨折などケガに苦しんだ。2年連続の山登りとなった2日の往路5区では昨年のような圧倒的な走りは見せられなかったが、チームメートがすべてカバー。総合成績で2位東洋大に7分以上の差をつけた青学大の強さは群を抜いていた。

 1区のエース久保田和真(22)が大会MVPに輝く快走で首位に立つと、最終10区までその座を一度も譲らない完全優勝。主力は卒業するが「組織がしっかりしているので急に弱くなることはない」とキャプテンは後輩たちに3連覇の夢を託した。

 神野は春からコニカミノルタに入社し、今月中に陸上競技部の寮に入ることが決まっている。まず、目標に掲げたのは来年1月1日の「ニューイヤー駅伝」。同社は今年、21秒差の2位に終わっており「優勝に導く走りがしたい」と意気込んだ。

 並行してマラソン練習もスタート。練習を本格化させる社会人2年目にマラソンデビュー予定で「初マラソンが2時間15分でそこから徐々に強くなる人もいるんだろうけど、僕は最初から準備万端で臨みたい。最初から日本記録は出していきたい」。10年以上破られていない高岡寿成氏(45=カネボウ陸上競技部監督)の2時間6分16秒を抜き、いきなり日本のトップに立つつもりだ。

 あまりに早く結果を求め過ぎているようにも思えるが、神野は「長く陸上を続けるつもりはない」と言い切る。現役と考えているのは東京五輪が行われる2020年まで。「長くやるつもりでいれば、今年はいいかなと緩みが出る。競技生活は5年と区切って、その間は陸上だけに集中する」と決意を明かした。

 初代山の神、今井正人(31=順大→トヨタ自動車九州)はマラソン転向後に苦戦を続け、ようやく昨年「世界陸上」の代表に選ばれたものの体調不良で欠場。2代目の柏原竜二(26=東洋大→富士通)も卒業後は思うような結果を残せていない。「自分は箱根から五輪へ、というのを体現したい」。強いのは箱根の5区だけではない。世界に通じる山の神を目指す。