復活へのヒントをつかんだ。陸上のセイコー・ゴールデングランプリ(8日、東京・国立競技場)、男子100メートルは、小池祐貴(26=住友電工)が10秒22で2位に入り、納得の表情を浮かべた。

 開き直りの一番だった。普段は「こうやって走ればこういうレースができるだろうと計画して走ることが多い」というが、予選では思うような走りができなかった。

「体が動かないし、寒いから記録も出ないし、決勝は音が鳴ったら思い切りスタートを切ろう」

 無我夢中で走った決勝は、世界選手権(7月、米オレゴン州)の参加標準記録(10秒05)を突破することはできなかったものの「しっかりコンディションを整えて(タイムを)狙っていけば(参加標準記録を)十分に切れると思う」と収穫を口にした。

 以前は「日本選手権で100と200を走ってもまだ明日走れるなというくらい余裕があった」と、出し切ることができな状況が続いていた。しかし、がむしゃらに走ったこの日は違った。「走り終わった後に久々に力を使った感じがした」。失いかけていた〝出力〟をようやく取り戻した。

 2019年世界選手権金メダルのクリスチャン・コールマン(26=米国)に敗れたものの、確かな手応えをつかんだ小池。来月の日本選手権では〝シンプル思考〟で直線を駆け抜ける。